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2008年01月21日

( ^ω^)悪意のようです その5

その1
序章  1章  2章  三章  4章
その2
5章  6章  七章  8章
その3
9章  10章  十一章  12章
その4
13章  14章  15章  十六章
その5 ←いまココ
17章  終章  あとがき

620 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 02:58:34.28 ID:O1eAIe2e0
17章



 しぃが自殺してから何日かして、
ブーンはツンに家へ呼び出されていた。

しかし確固たる目的があると言うわけでもなく、
居間で二人飲み物を飲みながら、
何を話すと言うわけでもなく、ただ空間を共有するだけだった。

 直接現場に居合わせたブーンのストレスもさることながら、
自分の行動が原因になっているツンのストレスも大きなものだった。

二人は互いに罪悪感を抱きつつも、
そのストレスから解放されたいという思いから、
支えを求め合っていることも事実であった。

624 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 02:59:47.81 ID:O1eAIe2e0
 しぃが死んだというストレスが、二人を求め合わせ、
求め合うことで罪悪感からストレスが生まれる。
そのジレンマが二人を無言にさせていた。

 やがてコップの中の飲み物がなくなり、
二人は手持ち無沙汰そうにテーブルを見つめる。
冷蔵庫のコンプレッサが音を立て始め、
それに乗じて二人ともが姿勢を直した。
しかし、やはり交わす言葉は無く、
やがてコンプレッサの音がまた静かになった。

 昼が夕方になり、部屋に差し込む光が少なくなるも、
ツンに電気を点ける様子は無い。
そして、ブーンに帰る気配も無い。
ただこの距離を静かに保ったまま、
二人は時が経つことにも無言の抵抗を示していた。

628 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:01:12.23 ID:O1eAIe2e0
 日が沈み、開いたままのカーテンから、
僅かに月明かりだけが差し込むのみとなった部屋。
そこに、ようやく静寂を破る音が流れた。

軽快なメロディと共に流れる歌声は、
ツンの携帯電話に着信が来たことを知らせるものだった。

ξ゚听)ξ「……もしもし」

 暗い部屋で、画面から出るライトを浴びて、
ツンの顔は半分だけ明るくなっていた。
照らされた方の顔に表情らしいものは無く、
それを眺めながらブーンは、もう片方の顔をぼんやりと想像していた。

ξ゚听)ξ「うん、うん、えーと……ウチに居るけど。
      うん。ところで、なんで……あれ、切れた」

 一体誰からだったのか、ブーンは尋ねようとも思ったが、
立ち上がり電気の紐を引っ張るツンの姿を見て、
言いかけた言葉を飲み込んだ。

631 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:02:31.07 ID:O1eAIe2e0
 電気が点いた瞬間、あれだけ曖昧だった空間が急にその境界をはっきりとさせ、
自分の存在を闇に薄めることも出来ず、ブーンは妙にそわそわとし始めた。
 次いでカーテンを閉めるツンの後姿を見て、その腰から尻に掛けてのラインに、
ブーンは俄にあの日の夜の事を思い出した。

あの日の温度、匂い、音。
ツンの表情、声、触り心地。

そして、それらを思い出すたびに、
イメージの奥底からしぃの顔が浮かび上がってくるのだ。
ベランダの外、空中に浮かんだしぃと、表情の曖昧な顔が、
あの日の事を思い出すのを、阻害するのだ。

 それは決してしぃの呪いなんかではなく、
自分自身が生み出した幻影である。

しかし、その自分自身が生み出した幻影が、
自分自身を責め立てるのだ。

634 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:03:35.05 ID:O1eAIe2e0
 やがてカーテンを閉め終わったツンが、元居た位置に腰を下ろした。
そして、ポツリと呟いた。

ξ゚听)ξ「……私ね……」

 ツンが声を出したのを聞いて、ブーンは視線を向けた。
お互いに、この空気をどうにかしようという思いが働いているのを、
なんとなく感じていた。

ξ゚听)ξ「あの時……突然泣いちゃったじゃん」
( ^ω^)「お」
ξ゚听)ξ「……あれね……その、私、しぃを応援してたんだ」
( ^ω^)「……」

 話の繋がりが怪しいのは、恐らく何から話そうかを考えているせいなのだろうと思い、
ブーンは下手に質問をせず、しばらくは静かにその言葉に耳を傾けた。

637 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:05:13.57 ID:O1eAIe2e0
ξ゚听)ξ「しぃ、ブーンが好きらしかったし。私も、しぃが幸せになるなら良いと思ったし」

視線が下に動いて、口が一度への字に結ばれた。

ξ゚听)ξ「でも、私どっかで……その、ブーンが気に……なってて、さ。
      それで、嫉妬して、ブーンを取っちゃおうって思ったの」

消え入るように囁くツンは俯き、再び口を閉じた。

ξ;凵G)ξ「でも、ね……」

 次に口を開いた時、既にツンは涙声だった。
たった三文字を喋るにも必死な様子で肩をわななかせ、
両手は膝の上でギュッと握られていた。

642 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:06:25.10 ID:O1eAIe2e0
ξ;凵G)ξ「私、ブーンを好きじゃなかったの……。
       ただ、ブーンが自分のものじゃないのが嫌だっただけなの……」
 ( ^ω^)「……」

 その言葉に、ブーンは唸るようにして喉から空気を漏らした。
体を重ねたと言う事実から、彼には少しばかり、いや、それなりに期待していた面もあったのだ。

好きという気持ちが実らなかったことに対する悲しみと、
これを体験したであろうしぃの心中を想像し、ブーンは心の痛むのを感じた。

ξ;凵G)ξ「私どうしよう……ブーンにも、しぃにも酷いことして……」
 ( ^ω^)「僕は……」

 慰めようと口を開いたブーンだったが、思い浮かべた単語のどれもが嘘偽りで、
それを口に出すのを躊躇ってしまった

644 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:07:44.05 ID:O1eAIe2e0
ξ;凵G)ξ「私のせいで、しぃが……」
 ( ^ω^)「それは、違うお」

 少なくともツンだけのせいではないと思い、ブーンは強めに否定をした。
しかしツンはまるで納得した様子ではない。

ξ;凵G)ξ「じゃあなんで? なんでしぃは死んじゃったの?」
 ( ^ω^)「それは……」

 その言葉にブーンが口ごもり、視線をそらした時、
部屋にチャイムの音が飛び込んできた。

( ^ω^)「……誰か来たお」
ξ゚听)ξ「……ちょっと、待ってて」

 涙を拭き、顔を作ると、ツンは早足で玄関の方へ消えていった。
ブーンはそれを目で追うこともなく、ただ心の沈むままに頭を垂れていた。

650 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:08:58.65 ID:O1eAIe2e0
 程なくして、玄関の方から聞きなれない男の荒々しい声が聞こえてきた。
酔っ払った父親でも帰って来たのだろうか。
しかしそれにしては声が若い。

 『なんでそんな物持ってるの!』
 『いいからあいつを早く呼べっつってんだ!』

 ただならぬ雰囲気に、ブーンは玄関の様子を窺いに行った。
そこに居たのは、ツンと、どこかで見たことのある小柄の男だった。
そして手には、刃先まで黒く塗られたバタフライナイフが握られていた。

 その光景にブーンは恐怖を感じ、後退ったが、
ツンを助けなければいけないと思い直し、二人の前に姿を現した。

652 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 03:09:53.14 ID:NGVwo/2s0
あぁ・・・やばい・・・

653 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 03:09:56.74 ID:98aQ37vt0
うわああああああああああああああああああ

655 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:10:33.39 ID:O1eAIe2e0
( ^ω^)「ツン、こっちに来るお」
ξ゚听)ξ「ブーン……」
   ('A`)「おい、見つけたぜ。内藤ホライゾン」

 小柄の男が、背中を丸めたまま首だけをぐるりとブーンの方へ向け、目を見開いた。
見上げるような体勢にも拘らず、ブーンはその不気味さに怯んだ。
そして同時にブーンは目の前の男の名前を思い出した。

( ^ω^)「ドクオ……」
   ('A`)「久しぶりだ。なぁ、ブーン君よ」
ξ゚听)ξ「え、ブーン、知り合いだったの?」
( ^ω^)「……しぃと居た時に、会ったことがあるお」
   ('A`)「ああん!?」

 いきなりドクオが体勢もそのままに大声を上げた。
そして少しの間を置き、ゆっくりと上体をブーンの方へ曲げた。
ナイフの切っ先が自分に向いたことで、ブーンは手のひらに汗が滲むのを感じた。

664 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:12:01.98 ID:O1eAIe2e0
('A`)「お、ま、え、よぉ」

 一文字ずつ言葉を切り、睨みつけながらドクオがブーンににじり寄った。
土足のまま上がるドクオを見て、ツンは僅かに手を伸ばしたが、
止めることはしなかった。

('A`)「自分が、何をしたか、分かってるわけ? ああ!」

 更に詰め寄ってくるドクオに、ブーンは気圧されつつも、
なんとか状況を回避しようと考えていた。
しかし心臓がドクドクと拍動し、冷静に物事を処理できない。

( ^ω^)「……何を言ってるのか分からないお」
   ('A`)「……人語! 通じろや、クソが! クソが、クソが!」

 とにかく刺激しないように接するのと同時に、
ツンを避難させなければいけない。

そう考えたブーンは、無言のままツンの方をチラリと見たが、
ツンの視線はドクオに釘付けだった。

669 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:13:11.88 ID:O1eAIe2e0
   ('A`)「いや、俺が悪いんだよな。ゴメンよ、しぃ。お前を守れなかった」
( ^ω^)「……」

 口内に溜まった唾液を嚥下し、ブーンは一度ナイフを見た。
刃渡り十五センチはあるだろうか。
黒い塗装がされていて金属光沢は見られないが、
刺されると冗談では済まないだろう。

良くない未来を一瞬想像して、チクリと胸に痛みが走った。

('A`)「本当なら早めにコイツを処理するべきだったんだ。
   俺はそれを知っていたのに、急がなかったんだ。ゴメンよ、ゴメンよ」

 どこを見ているのか分からない目をしながら、
ドクオは低い声でブツブツとしばらくの間呟いていた。

ぴくり、とナイフが僅かに動く度に、ブーンは心臓が急激に縮むのを感じた。

670 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 03:13:12.49 ID:JRMm++xJ0
こわいこわいこわい

673 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 03:14:01.62 ID:NGVwo/2s0
やめろ・・・

672 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 03:13:52.55 ID:4I3uI9S10
( ^ω^)パシーン      
(  と彡☆(#)A`)ノ

ξ;゚听)ξ!?


675 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 03:14:47.39 ID:bA3K7TH70
>>672
おwまwえwっwてwやwつwはw!w!wwww

676 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:15:02.06 ID:O1eAIe2e0
   ('A`)「だからさ、しぃ。俺が今お前の無念を晴らしてやるよ。
      それが俺の使命なんだ。俺が生まれてきた理由なんだ」
( ^ω^)「……」

 ブーンは再度ツンの方を見た。
すると、偶然にも視線がピタリと合った。

ブーンは、この期を逃がすまいと、密かに左手の真ん中の指三本を折り、
手で受話器の形を作った。
そして首を固定したまま、ツンの顔と自分の左手へ交互に何度も視線を送った。

ξ゚听)ξ「……」

 ツンはブーンの意図に気付いたのか、ぎこちなく一回頷いた。
これで希望が見えたと、ブーンは内心溜息を吐いた。
ツンがドクオの後ろをそっと移動して家の外に出れば、
すぐに携帯で今の合図通りに警察に連絡してくれるだろう。

 後は、目の前のナイフをどうにかしなければいけないと、
ブーンは震えそうになるのを耐えながら、ドクオの隙を窺っていた。

681 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:16:22.63 ID:O1eAIe2e0
   ('A`)「だから、俺がしぃの敵を討つ。お前を殺して、天国のしぃを笑顔にする」
( ^ω^)「え……殺す……?」

 呟いて、ゾッとした。
ナイフを持っているだけではない。
目の前の男に殺意が確かにあるのだ。

次の瞬間に死んでしまうかもしれないという恐怖は、
あっという間にブーンの心を食(は)み、
現実と空想の境界を曖昧にしていく。

緊張に視界が歪み、呼吸は浅くなり、
ナイフが自分の体に突き刺さる妄想が止まらなくなる。

(;^ω^)「やめて……くれお」

 ブーンにしてみれば力なく懇願するのもやっとだった。
生きていたい。死にたくない。
命のためなら何でも出来るという思いが湧き出てくる。

684 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:17:51.69 ID:O1eAIe2e0
   ('A`)「やめてくれ? ……お前よお。お前よお、お前よお!」
(;^ω^)「……」
   ('A`)「お前! しぃは! しぃはお前に殺されて! お前が殺して!
     しぃは、お前に、無理矢理! お前に! お前が! あああああ!」

 殺された。殺した。
その言葉にブーンは誤解があると瞬時に理解し、それを解こうとした。
そうすれば助かるかもしれない。
今はとにかく助かりたい一心だった。

(;^ω^)「落ち着くお。しぃは……自殺だったんだお」
   ('A`)「自……殺?」
(;^ω^)「……そうだお」
   ('A`)「……」

 効果あったか。
ドクオは信じられないといった表情でブーンを見つめた。

その様子を見て、ツンが僅かに身じろぎした。
どうやら行動に移す決心をしたようだ。

690 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:19:41.43 ID:O1eAIe2e0
   ('A`)「お前……本当に……救いようが無い。……クズだな」
(;^ω^)「……え?」
   ('A`)「どうして、今更、そんな嘘を、吐くんだ?」
(;^ω^)「嘘じゃないお。本当にしぃは――」
   ('A`)「……」
(;^ω^)「……」

 ピリピリとした殺気が辺りに立ちこみ始めていた。
ドクオは再び俯き、まるで痙攣しているかのように口の横をひくひくとさせ、
目尻が裂けるくらいに目を剥き、はぁはぁと息を荒げ始めていた。

('A`)「嘘吐くんじゃねえよ。ここまできてよくそんな嘘が吐けるよなぁ……。
    殺すだけじゃ足りねえ。嘘吐きのお前の舌ぁ引っこ抜くべきだよなぁ。
    しぃの代わりに断罪だよなぁ……」

 時々声量が大きくなったり小さくなったり、不自然に変化するイントネーションは、
必死に何かに耐えているような、あるいは気が狂ってしまっているかのようだった。
あまりに不気味すぎるその様子に、ブーンはドクオとは分かり合えないことを確信した。

691 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 03:19:55.02 ID:07xSe1zwO
激情の前に言葉は無力か

692 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:21:29.38 ID:O1eAIe2e0
 しかし、今更下手に意見を変える気にもなれなかった。
だからブーンはただただ、弱々しく呟いた。

(;^ω^)「嘘じゃ……ないお」

 その言葉に、ドクオが異常な速さで顔を上げ、ブーンを睨みつけた。

  (#'A`)「ああああああああああああああ! うるせえうるせえうるせえうるせえ!
      お前の話なんかどうでもいいんだよ! その舌引きちぎってやる!
      俺が、悪を裁く正義なんだよ! そうだ。俺が、俺こそが正義なんだよ。
      俺がこの世の悪を裁くんだよ。嘘吐きの舌を引っこ抜いてよぉ!」
(;^ω^)「僕は……」
ξ;゚听)ξ「ッ!」

 その時、ドクオが叫んだのを合図に、意を決したツンが動いた。
よし、このタイミングなら、うまく外に出ることが出来る。
そう思ったブーンだったが、ツンが一歩を踏み出したその瞬間、心臓の止まる思いがした。

 ツンが動いたのは、外への扉の方へではなく、ブーンが居る居間の方へだったのだ。
危険を顧みることなく、ドクオの脇をすり抜けようとツンは駆け出す。

694 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 03:22:03.70 ID:8vIaInlV0
ツン・・・・!!!!!!!!!!!1

696 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:23:17.75 ID:O1eAIe2e0
(;^ω^)「違っ! ツン、外っ!」
  (#'A`)「ああああああああああああああああああああああああ!」
(;^ω^)「!」

 木霊する叫び声。
その瞬間に色々な事が起きた。

 まず一つ目は、
ツンが居間に携帯を置き忘れていたということを、ブーンは思い出した。
しかし電話くらい外に幾らでもあるだろうに。

 二つ目は、
ドクオがナイフをブーン目掛けて振りかぶったこと。
まっすぐ刺すという選択ではなく、切りつけるという選択をしたのだ。

 そして三つ目は、
そのナイフが、弧を描きブーンに到達する途中で、
居間に足を伸ばしたツンの首筋に、深々と突き刺さったということ。

698 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 03:23:19.09 ID:cvofisk+0
ツンンンンンンン!!!!

699 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 03:23:36.98 ID:JRMm++xJ0
最悪の事態が最悪の事態が最悪の事態がああああ

702 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:24:36.81 ID:O1eAIe2e0
   ('A`)「あん?」
ξ゚听)ξ「……ぁ」
( ^ω^)「……え?」

 一瞬の間。
三者三様の反応の後に、ツンは血を噴出して床に倒れた。

 どうしてこんなに勢いが出るのだろうか。
まるで噴水のように吹き出る血は止まらない。
心臓の鼓動にあわせるように、
びゅっ、びゅっ、と噴出しては床を濡らす。

ξ゚听)ξ「あ。あ。あ。……あ。……あ」

 それに合わせて、ツンが細い声を上げていた。
ガシャン、と床にナイフが落ちた。
刃が血を弾いていた。
壁も、床も、真っ赤になっていた。

704 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 03:24:44.39 ID:98aQ37vt0
あああああああああああ

707 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 03:24:55.43 ID:0b2SgBsN0
あああああああああああああああああああああ

710 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 03:25:45.78 ID:LDKqW2s3O
あぁああああぁぁぁぁああああ!!

714 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:26:31.17 ID:O1eAIe2e0
('A`;)「う……うおおお……」

 血まみれの手でドクオは頭を抱えて膝を突いた。
ツンを見ることも無く、ただ俯いて唸っている。

 ブーンはと言うと、未だに状況を把握しきれずに居た。

何故、ツンがドクオに切りつけられなければならないのか。
そう考えた時、ブーンは自分でもゾッとするくらいのエネルギーを持った悪意が、
腹の底から湧いてきたのを感じた。

そんなブーンのズボンを、ドクオが掴んだ。

   ('A`)「な、なあ助けてくれよ……俺、人殺し……こんなはずじゃ……」
( ^ω^)「……」
   ('A`)「なあ! 助けてくれよ! 人殺しちゃったんだぞ!
      俺を助けろよ! なんとかしろよ! なあ!」

 懇願するならば態度が高慢すぎるじゃないか。
大体、人を殺しにここまで来たんだろうに。

ドクオのあまりに無愧(むぎ)な態度に、ブーンの中に悪意が蓄積されていく。

718 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:28:18.10 ID:O1eAIe2e0
( ^ω^)「そっか……」
   ('A`)「そうだ、俺は何にも悪くない。お前が、お前が素直に俺に殺されていれば、
      俺は今頃ヒーローだったんだ。お前が全部悪いんだ。なんとかしろよ!」

本来ならば、ツンの為に救急車を呼ぶべきなのだ。
しかしブーンはそれを躊躇った。

( ^ω^)「お前が居たからこうなったのかお」
   ('A`)「お前だ! お前が全部悪いんだ!」
( ^ω^)「お前が、生きているから、代わりに、みんな、死んで、しまったんだ、お」

 なぜなら救急車を呼べば、この男を殺せなくなるからだ。

( ^ω^)「……死ねお」

 その声色に起伏は無く、その表情に色は無く。
だからと言ってその心までもが穏やかな筈はなかった。

721 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:29:35.37 ID:O1eAIe2e0
 途方もない質量を持った怒りは、
ブーンの心の底に澱んで溜まり、全ての感覚を麻痺させていく。

ひとたび動けば血液が突沸して爆発するのではないか。
そう思えるほどのエネルギーが、
足の付け根や肩の付け根、腹の底や眼の奥に溜まっていく。

次第に視野は狭窄(きょうさく)になり、
眼前の男の存在以外の一切が世界の端から追い出されていく。

 やがて、ふわりとその両手がドクオの首を掴み、一気に押し倒した。
触れて尚、ブーンは胸中に渦巻く怒りをどうやって発散させたらいいのかと、戸惑っていた。
あまりに怒りが大きすぎて、何をどうしてもそれを伝え切れそうにないのである。

どんな声色、どんな言葉で罵倒すればいいのか。
どんな表情で睨みつければいいのか。
どんな手段で相手を傷付ければいいのか。

どれだけの手段を使っても、まるでこの怒りをぶつけられそうにないのだ。
それに気付いた頃、ブーンは涙を流していた。

724 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:31:20.44 ID:O1eAIe2e0
 涙を流しながら、青ざめたドクオの顔を持ち上げ、床に叩き付ける。
左手で喉を押し潰そうとしながら、右手を苦しそうに開いた口の中に突っ込む。
生暖かい口腔の中で舌を探し当て、生えている方向に対して垂直に引く。
しかしまるで取れる様子のない舌を諦め、眉間に拳を振り下ろす。

振り下ろす。
振り下ろす。
 眉間の皮が剥け
振り下ろす。
振り下ろす。
  艶のあるピンク色の肉に
振り下ろす。
振り下ろす。
   微細な赤色のドットが浮かんできた
振り下ろす。
振り下ろす。

立ち上がり、踏みつける。
顔ばかりを執拗に、何度も何度も踏みつける。
物足りなく感じてはヌルヌルとした手で殴り、やはり駄目だと足で踏む。

729 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:32:52.51 ID:O1eAIe2e0
 口元を踏んだ時、何かがへこんだような感触がした。
どうやら前歯が折れたようだった。

それを確認したブーンは、嬉々として肋骨を踏みつけた。
右足。
左足。
ジャンプして、両足。

 腕を持ち上げ、手首を掴んだまま腕の中ごろを踏みつける。
鎖骨の辺りに飛び乗る。
顔を踵で蹴り飛ばす。

 一通りやりつくすと、次は道具が欲しくなってきていた。
忌々しい悪意を解消するために、ブーンは玄関をくまなく探す。

 すると、置物の台に使っていた赤レンガのブロックを見つけた。
それを手に取るや否や、ドクオの顔目掛けて投げ付け、
その威力に陶酔すると、今度はレンガで顔を殴りはじめた。

730 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 03:32:54.37 ID:NGVwo/2s0
もうやめろって・・・

732 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 03:33:34.39 ID:0b2SgBsN0
もうやめろ・・・
ライフ0ってレベルじゃねーぞ・・・

733 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:34:03.71 ID:O1eAIe2e0

 そうして不細工な折檻は、しばらくのあいだ続いた。
殺し方のランク付けがあるならば、かなりの下位ランクだろう。

幼稚で、原始的で、非効率的な暴力は、
ただ結果として果てに死があるというだけである。
当人が気付いていないだけで、相手を殺そうとはしていないのだ。

 そもそも殺人をしたことの無いブーンにとって、
殺すというものはイメージでしかなく、暴力の誇大表現なのだ。
言うなれば、『殺す』というよりは、『死んでくれ』といったところだ。

沢山殴るから死んでくれ。
沢山踏むから死んでくれ。

それは暴行と言う名の祈りにも近かった。

737 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:35:49.50 ID:O1eAIe2e0
 一通りの暴力を追え、ブーンは床に腰を下ろした。
ぐったりとした男の体は、ただ力の抜けた人間のものとは明らかに違っていた。
変色し脹れあがった顔は、もはやその原形を想起するのも困難なほどで、
なにより吐き気がした。

 冷静になってみれば、助かったかもしれないツンを放って、
一体自分は何をしていたのだろうか。

 『たった今、自分は人を殺してしまったのだ』
 『死体を隠さなければ』

しかし、そう思ったときには既にブーンの目はゴミ袋を探していた。

741 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:37:47.28 ID:O1eAIe2e0
 死体を解体する勇気は無かったものの、
とにかく目の前から非現実的な物を排除したかった。

納戸から黒いゴミ袋を見つけ出し、勢い良くそれを広げると、
死体を入れようとしたが中々入らない。
ブラブラとだらしない腕や足は独立し、胴体が重い。
死後硬直なんてものは嘘なのかと思ってしまう。

 やっと袋に入れることが出来たと思ったところで、
今度はどうにも袋に収まりそうにないことに気が付いた。
肩から上がはみ出てしまうのだ。

焦ったブーンはもう一枚袋を取り出し、
それを死体の頭から被せ始めた。
そして近くにあったガムテープでぐるぐる巻きにすると、
ようやく自分の荒い息遣いに気が付いた。

 唾液を飲み込み、一瞬袋の中の酷い顔を思い浮かべ身震いをした。
そしてブーンはゆっくりと部屋を見渡した。
蛍光灯に照らされた部屋は、しんと静まり返り、
誰も居るはずがないのに視線を感じる。

 しかし立ち止まるわけには行かない。
ブーンは部屋の電気を消すと、ゴミ袋を抱きかかえツンの家を飛び出した。

743 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:39:05.59 ID:O1eAIe2e0
 夜の帳を掻き分けるように、ブーンは疾走した。
人一人を抱えて走るのは途轍もない疲労を伴ったが、
そんなものは気にならなくなるほど切羽詰っていた。

 闇の中を走っていると、冷たい風が頬を撫ぜ、
否が応でも冷静にならざるを得ない。

人を殺してしまったという事実。
そしてツンを見殺しにしてしまったという事実。

罪の意識は暗闇によって助長され、
後ろから何かが迫ってくる錯覚を起こし始める。

748 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:40:41.62 ID:O1eAIe2e0
(;^ω^)「はぁっ……はぁっ……」

 何度も後ろを振り返りながら、辿り着いたのは人気の少ない山道だった。
地元では不法投棄のスポットとして有名で、
タイヤやら電化製品やらが、山のように捨てられている。
役所も手を出すことを渋っているこの場所に、ブーンはドクオの死体を捨てた。

 ここならば何かを捨てに来る者が居たとしても、
わざわざ拾いに来る者は居ない。

それに万が一捨てに来た者がたとえこれに気付いても、
自分の後ろめたさもあって放置する可能性もある。
回らない頭でそう考えて、ブーンはこの場所を選んだ。

 ブーンは今一度周りを良く観察すると、
誰も居ないことを確認して、再び走り出した。
やり遂せたという、妙な達成感と開放感がブーンを包んでいた。


 そうしてブーンが向かった先は、ツンの家だった。
理由は馬鹿馬鹿しくも、今更になって、
まだツンは助かるかもしれないなどと思ったからである。

754 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:43:07.68 ID:O1eAIe2e0
 息も絶え絶えにツンの家に辿り着き、祈るような思いで電気を点けた。
もしやツンは無事で、何もかもがいい方向に向かっていないかと。

しかし電気を点けてみると、やはり床に広がる血溜まりが見えた。
そしてその奥に、力なく横たわるツンの姿があった。

( ^ω^)「……ツン?」

 服はすっかり血を吸って赤茶色になり、
手のひらの皮膚が見えるところは、驚くほど白くなっていた。
その顔は血まみれで、髪は血が固まって束になったものが、顔にいくつも張り付いていた。
ブーンはその光景に、素直に恐怖し、そして脱力した。

( ^ω^)「……なんで?」

 口から漏れたのは疑問の言葉。
しぃが死に、ツンが死に、気付けば自分は人を殺していた。
どうしてこうなってしまったのか。何がいけなかったのだろうか。
自問自答が加速する。

757 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:45:03.06 ID:O1eAIe2e0
( ^ω^)「ツンが殺されたのは、しぃが死んだから」

――それじゃあ悪いのはしぃなのか。それは違う。

( ^ω^)「しぃが死んだのは、ツンがしぃを裏切ったから」

――それじゃあ悪いのはツンなのか。それも違う。

( ^ω^)「……僕がツンと寝たから?」

――だからしぃが死んだ? だからツンが死んだ?

( ^ω^)「違うお。アイツが……」

――あの男を殺したのは……僕?


――悪いのは、僕?

――しぃを殺して、ツンを殺して、アイツを殺した。
   一番死ぬべきなのは……僕だった?

763 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:46:49.59 ID:O1eAIe2e0
( ^ω^)「……あはははは……あははは……あは……」

 なんだ、全ての元凶は僕だったのか。
そう思ったとき、目に映るものが現実味を無くしていった。
胸中に渦巻くのは、あの男への憎悪と自己嫌悪の念。

そんな時ブーンの胸中にある考えが芽生えた。

  そうだ、嘘を吐こう。
  すべての罪が僕に集約するように、嘘を吐けばいい。
  いや、ただ黙するだけでも良い。

  だから僕はその代わりに舌を抜こう。
  罰として、そして全てを黙殺するために。

( ^ω^)「おっおっお」

 思い立ってすぐに、
ブーンは左手を口の中に入れて、舌を引っ張ってみた。

けれども、まったく抜けない。
右手でも引っ張ってみる。

767 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:48:34.82 ID:O1eAIe2e0
 みちみち、と音を立ててはいるけれど、涙が滲むだけで抜ける気配がない。
それに舌が勝手に逃げてしまう。

( ^ω^)「……ぬけないお」

 このとき既にブーンには、絶対に舌を切り離すと言う決心があった。
なのでハサミを見つけたときも、全く躊躇うことなく手に取ることが出来た。

( ^ω^)「ハサミがあったお」

 そしてハサミを開き、舌を出す。
左手で舌の先をつまんで、舌をハサミで切った。

 ぢょき!

(;^ω^)「えぅ! ひ、き、切れるお」

 舌からは小気味いい音がしたが、
耳にはそれとは別に、ブツブツと繊維を切る音が聞こえた。
半分ほど切込みが入った舌へ、ブーンは更にハサミを入れていく。

769 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 03:49:19.84 ID:0b2SgBsN0
うわ・・・

770 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 03:49:35.10 ID:UiqCrwO9O
うえええ……

771 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 03:50:03.20 ID:+EV0NehGO
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

772 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:50:04.18 ID:O1eAIe2e0
 ぢょき、ぢょきん!
 じわ。どろどろ。
 どくんどくん。
 どくんどくんどくん。

(;゚ω゚)「えううううう! うううううええええええええううううううううう!」

 び、び。
 どくんどくんどくん。

(;゚ω゚)「えええええええええううううううえええええええええええええええあああああああああああ!」

 どくん、どくん。
 くら、ふらり。

(;゚ω゚)「いひっ! いいい! いっ! げっ! げぁっ! あっ! がっ! ばっ! あっあっ!」

 想像を絶する痛みに、ブーンの視界はテレビの砂嵐のようになった。
そして大量に溢れだす血液は、喉に絡みつき、あるいは鼻へ逆流し、
ブーンの呼吸を阻害する。

780 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:51:15.57 ID:O1eAIe2e0
 ともすれば意識を失いそうになる状況で、
左手には舌を持ち、口はだらしなく開けたまま、ブーンはツンを見た。

(;゚ω゚)「うう! うううう!!!」

 そしてゆっくりとツンににじり寄った。
自分が舌を切ったことを、しかと誇示するように。

ξ゚听)ξ「……」

 見るも無残な表情のまま絶命したツン。
その顔が、ブーンの口から垂れ流しになっている血と唾液の混ざったもので、
上塗りされていく。

(;゚ω゚)「うう! うう! うっ! げほっ! がっ!」

 何事かを喋ろうとしたブーン。
しかしそれが意味のある音になることは無かった。

787 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:52:58.67 ID:O1eAIe2e0
 口からはポタポタと、赤く汚らしい液体がツンの顔へ落ちていく。
喋ろうとすればするほど、ツンの顔が自分の液体で汚れていく。
その様子を見たブーンは、肩を震わせ、


(;^ω^)「いひっ! いいいいいいひっ! ひいっひっひっ! ひひひひひひひひひひひひ!」


笑った。


(;^ω^)「ひひひひひひひひひひ! ひああははははははは! はっ! がっ! げぇっ!
     ……あっあはっ! あはっ! あっ! あ〜あ〜あぁぁぁぁ! ひひひひひひひ!」

ゴロゴロと床をのた打ち回りながら、ブーンはゲラゲラと笑っていた。

舌を切り取ってしまった自分がたまらなく面白くて、笑っていた。

喋れなくなった自分が間抜けで、笑っていた。

こんなことで罪から逃れられると思っている自分が滑稽で、哂っていた。

792 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:54:31.78 ID:O1eAIe2e0

 その後、ブーンは凶器と共に自宅へ帰り、服を着替えることも無く、
部屋でずっとなんでもない壁のシミなんかを見つめながら、痛みに耐えていた。
今はこの痛みに耐えていさえすれば良いと、やるべき事、考えるべき事から逃避し続けた。

 程なくしてツンの家に父親が帰って来たところで事件が発覚。
ブーンは夢現(ゆめうつつ)のまま警察の電話に応対。
そこで自分が現場に残してきた血液や、舌を切り取ったハサミを思い出し、
逃げられないことを悟ったため出頭。

 しかしブーンは真実を語ることはしなかった。
自己嫌悪や被害妄想。
色々な要因が絡み合っていたが、最も大きな要因として、
ブーンはドクオという男を、あらゆる繋がりから隔離したかったのだ。

 裁かれることも無く、報われることも無い。
暗いゴミ袋の中で、惨めな思いを抱きながら体を腐らせていく。
死体が抱くはずの無い感情を想像し、ブーンは愉悦の波に溺れた。
そして時々、思い出したように含み笑いをした。

796 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:55:39.28 ID:O1eAIe2e0
 だが、こういった加虐的思考と同時に、
口を噤(つぐ)むブーンの中には、身を刻むような被虐的思考も存在した。

 自分という存在に対する嫌悪。
亡くなっていった人達から呵責(かしゃく)されているという妄想。
それを代弁するかのような親族、知人達の態度。

圧し掛かる罪の意識は、時間と共にその嵩(かさ)を増し、
ブーンの精神を痛めつけ続けた。

799 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:56:48.94 ID:O1eAIe2e0
 だがブーンは公判中も終始この事件に関する真実を打ち明けることなかった。
彼は黙ることによって自らが作り上げた罪により、公的な罰を科せられた。

 もしも事実が明らかになってしまえば、自分はツンに関する罪を裁いてもらえなくなる。
おぞましい醜男に関する罪で、長い時間を拘束されなければいけなくなる。
そう考えれば、ブーンはこの心を刺す痛みにも耐えることが出来た。
宙ぶらりんの罪ほど、心に重苦しいものは無い。

 だからこそブーンは舌を切ったのだ。
ドクオなど居ない。
全ての罪は自分にあるのだと、嘯(うそぶ)くために。
その代償、罰として、自ら舌を切り取ったのだ。

808 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 03:59:43.70 ID:O1eAIe2e0

 そしてこの二十二年後。
内藤ホライゾンは、ついに一度も事実を公表することなく、
公園の個室トイレにて、ひっそりと首を吊って死んだ。

 足元に添えられていた手紙にはただ一文だけ、

 『追ってくる』

そう書かれていた。

 この文章の意味も、この二十二年間彼が何を考えていたのかも、知る者は居ない。





813 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 04:00:57.37 ID:ckocCmLz0
続くのか?

814 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 04:00:58.40 ID:Ag3VB8E7O
続か
完かと思った

815 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 04:00:58.51 ID:cFCf9/8l0
何が追ってくるんだあああああああああああああ

続ってことは連載だよな?

816 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 04:01:24.88 ID:O1eAIe2e0
終章



 西日もすっかり消え失せ、無数の蛍光灯の明かりが職場を照らしていた。
片付かない仕事の山に嫌気の差したヒッキーは、自販機へ行くために席を立った。
するとデスクで真剣に書類を見ているビコーズの姿を見つけ、
珍しいこともあるもんだと、ヒッキーは彼の元へと近寄った。

(-_-)「ビコさん、そんなに真剣に何を見ているんですか?」
 ( ∵)「ん? ああヒッキーか」

 チラリと見ると、書類はただ文章を貼り付けただけのような雑な作りで、
どうも仕事の書類の様には見えなかった。

 ( ∵)「これは内藤の発言をまとめたやつだ。
     非公式に漏らした愚痴から最終陳述まで色々揃ってるぞ。
     ……とは言っても、奴は喋れんけどな」
(-_-)「どうしてまたそんなのを? 仕事ですか?」
 ( ∵)「いや、それがよ――」

(´・_ゝ・`)「よー、居残り組」

 突然二人の会話に割りこむようにして、デミタスが現れた。

823 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 04:02:41.82 ID:O1eAIe2e0
 (-_-)「……びっくりした」
  ( ∵)「テンションたけぇな。ほらよ、言ってたやつ」
(´・_ゝ・`)「ああ、悪いな。今晩メシでも奢るよ」
  ( ∵)「しかしなんだってこんなもんが欲しいんだ?」
(´・_ゝ・`)「ん? そりゃあ……だって、気になるじゃないか。自分で舌を切り落とす殺人者なんて」
  ( ∵)「あー……お前はそういう趣味の奴だったな」
 (-_-)「えーと、どちら様ですか?」
  ( ∵)「ん? お前も一回会ってるだろ。ほら、えーと……自殺した内藤の知人宅に行ったときに」
 (-_-)「あ、あの時の……失礼しました」
(´・_ゝ・`)「いや、気にしなくていいよ」

  ( ∵)「ところでよ、デミタス」
(´・_ゝ・`)「ん?」
  ( ∵)「お前んとこの事件はどうなった? やっぱ自首して来た奴が犯人だったか?」
(´・_ゝ・`)「……ああ。殺したのは彼らだったよ」
  ( ∵)「やっぱりな。ほら見ろ、俺の言った通りじゃねえか。事件解決だな」
(´・_ゝ・`)「ああ、そうなんだよ。本当に、事件は解決したんだ」
  ( ∵)「あん? なんだ、不満か」
(´・_ゝ・`)「……さすがにそんな事は言えないな」

825 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 04:03:46.34 ID:O1eAIe2e0
 あの日クーの死体が発見されて以来、ぱったりと殺人は起こらなくなった。
ドクオの死後も、第二第三と模倣サイトは生まれ続けたのだが、
それらが活用されることは無かった。
一体何が彼らの熱を冷めさせたのか。

 第一の模倣サイトであったドクオのサイトにおいて、
一人目である内藤が、逮捕というある種の失敗に終わったことだろうか。
それが模倣は模倣でしかないというイメージを与えてしまったのは、確かに事実だろう。

 それともそれに乗じて第二第三と立ち上がった模倣サイトのコピーにより、
劣化していくカリスマを見て冷めてしまったのか。

 中には未だオリジナルサイトの更新を熱烈に待ち続けている者も居るが、
彼らは誰一人として、自分たちの悪意でそのカリスマを手に掛けた事を知らない。
事実上、システムはひっそりと崩壊の時を迎えていた。

829 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 04:05:13.12 ID:O1eAIe2e0
(´・_ゝ・`)「……」

 しかしデミタスにとっては、なんとも歯切れの悪い事件解決となってしまった。
いや、正確に言えば解決はしていないし、これからも解決はしないだろう。

いつの日か燻っている火が燃え上がらないとも限らない。
たった一種類の火種を失っただけで、火薬はこの世界中にまだ沢山残っているのだ。

  ( ∵)「よし、ヒッキーお前もさっさと今日の分を仕上げろ。コイツにスシ奢らせるぞ」
 (-_-)「いや、僕は関係ないからいいですよ。それにまだまだ終わりそうもないですし」
  ( ∵)「……『ないでスシ』とはお前、またハイセンスなギャグを」
 (-_-)「ち、違いますよ。勝手に人を滑らせないで下さい」
  ( ∵)「オラオラー、無駄口叩いてるとスシが乾いちまうぞー!」
 (-_-)「いや、だから……」
(´・_ゝ・`)「別に一人や二人増えても変わんねえよ。
      なんならこの内藤って奴の話を聞かせてくれ。それでチャラだ」
 (-_-)「はあ……なんかスイマセン。て言うか個人情報ダダ漏れじゃないですか」
  ( ∵)「スーシーがーかーわーくーぞー」
 (-_-)「あーもう、わかりましたよ! て言うか乾きません!」
(´・_ゝ・`)「ま、俺はしばらくこれを読んでるから、終わったら声を掛けてくれ」
  ( ∵)「おーう」
 (-_-)「はい、わかりました」

831 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 04:06:34.87 ID:O1eAIe2e0
 空いていたデスクの椅子に座ると、デミタスはゆっくりと書類に目を通し始めた。
その発言のほとんどが、胸焼けを起こしそうなほどネガティブなものばかりで、
デミタスは眉を顰(ひそ)めながらそれらを眺めた。

 その中でも目を引いた記述が、
なぜ人を殺したかについて問われた時の、内藤の回答だった。

『僕は、風邪をひいてしまったのです。
 悪意はそこらを飛び回る菌のようなものであり、
 僕はいつの間にかその悪意渦巻く劣悪な環境に巻き込まれ、
 罪と言う風邪をひいてしまったのです。
 でなければ、僕は人など殺さなかった。
 でなければ、僕に一体どうして人を殺せようか』

(´・_ゝ・`)「風邪か……」

 他人に責任転嫁をしているだけの文章にも思えるが、
デミタスは先の連続殺人の犯人と内藤を照らし合わせていた。

836 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 04:07:51.55 ID:O1eAIe2e0
(´・_ゝ・`)「私の中の悪魔が……なんて言う奴はいるけどな。
      悪意ねえ……おい、ビコーズ」
  ( ∵)「おう、どうした」
(´・_ゝ・`)「こいつ家庭環境に問題でもあったのか?」
  ( ∵)「ん? いや、別に。なんつーか、何考えてるんだかよく分かんない奴なんだよなあ」
(´・_ゝ・`)「そうか……」

 だとしたらこの内藤と言う男も、
殺人へと踏み切らせる何か目に見えないものを、感じていたのかもしれない。
それは自己の中に芽生えた強迫観念なのか、あるいは外部からの直接的な影響なのか。

(´・_ゝ・`)「しかしまあ、この文面を見る限り後者なんだろうな」

841 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 04:09:05.74 ID:O1eAIe2e0
 しかし一方で、
自分の中の罪の意識を強く認識している、次のような記述も見受けられた。


『僕がナイフを彼女の胸に突き立てなくたって、
 結果としてナイフが彼女の胸に刺さって、そしてその原因が僕にあれば、
 罰を受けるのは、やはり僕になるのです。
 それが当たり前のことであり、僕はそれを望んでいるのです』

『裁判官の長い話を聞いて僕は思いました。
 この世の誰も僕を裁くことは出来ないのだと。
 それを痛切に感じさせることこそが、
 死した者からの間接的な裁きなのです。
 そして、自分の行いを強制的に苦悩させられ続ける地獄が、
 これからの僕には待っているのです』


(´・_ゝ・`)「してしまったことの罪は自分にある。
      けれどもその原因は他人にある……ってとこか?
      潔癖と言うか、神経質と言うか……ちがうな、偽善者? うーん……」

844 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 04:10:33.58 ID:O1eAIe2e0
 しっくり来る言葉の思い浮かばないデミタスは、
うんうんと唸りながら天井を仰ぎ見た。

(´・_ゝ・`)「まあ何でも良いか。……しかし、間接的な裁きか。こいつも変なことを考えるな」

 そこでデミタスが思い浮かべたのは、バーで会ったクーの顔だった。

(´・_ゝ・`)「……僕がナイフを突き立てなくても、結果として刺さり、
      その原因が僕にあれば、罰を受けるのは僕である。
      そして僕はそれを望んでいる……か」

 あの時、助けてくれと言ったクーの本心は一体なんだったのだろうか。
流れを止めることに対して、果たして『助けてください』という言葉を使うだろうか。
全く無いわけではないが、デミタスにはそれが納得できなかった。

847 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 04:12:01.76 ID:O1eAIe2e0
(´・_ゝ・`)「あいつも内藤と同じだったってことなのか……?」

 罪の意識を感じ、裁きを求める。
その叫びが『助けてください』だったのか。

(´・_ゝ・`)「そう言えばアイツも悪意の伝播がどうのとか言ってたな……。
      ……やっぱ、俺ちょっと言いすぎだったのかもしれないな」

 あれ以来、デミタスは何度もあの夜の事を思い出すようになった。
歯止めが利かない位に加熱してしまった自分を、後悔しているのだ。

(´・_ゝ・`)「まさか、俺も自覚が無いだけで既にってことなのか? ……ゾッとするな」

849 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 04:13:16.62 ID:O1eAIe2e0
  ( ∵)「よっしゃー! 終わったぜコンチクショウ! おいスッシー、飯行くぞ!」
 (-_-)「スッシーって僕ですか? はしゃぎ過ぎですよビコさん。
      多分耳を貸してもらえないとは思いますけど、僕の仕事まだ終わってないです」
  ( ∵)「ほら、デミタス。そんなもんは家帰って読め。行くぞ行くぞ」
 (-_-)「あー、やっぱり聞いてない」
  ( ∵)「ヒッキー、俺だって話くらいはちゃんと聞く。寧ろ、他人は自分の鏡ってやつだな」
 (-_-)「はい?」
  ( ∵)「俺を話の聞かない奴だと思っているお前こそが、
      実は俺の話を聞いてない。どうだ、これ。耳が痛いだろう? そうだろう」
 (-_-)「ごめんなさい、待たせすぎて頭に栄養行かなくなったみたいですね。可哀想なビコさん」
  ( ∵)「お前、後で人間パトランプの刑な」
(´・_ゝ・`)「……そうか。それだ、ビコーズ」
  ( ∵)「ん? どうした。人間パトランプやりたいのか?」
(´・_ゝ・`)「内藤も、あの女も、そして俺も。巻き込まれたと思っていた悪意は……」

 デミタスはそこまで言うと急に黙り込んだ。
そして何かを振り払うように勢い良く立ち上がり、首を鳴らした。

851 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 04:15:00.08 ID:O1eAIe2e0
(´・_ゝ・`)「あーやめた。考えたくもねえ」
  ( ∵)「そうそう、難しいことは考えずにスシ食いに行こうぜ。おいヒッキー早くしろ!」
 (-_-)「はいはい、いま支度できましたよ」


 環境は、土が作り、大気が運び、雨が地へ戻すサイクルの中にある。
しかし土も大気も雨も無いバーチャルの環境は、
現実のそれよりもはるかに早く、大量に悪意を伝播した。

 しかし、それが初めから悪意だったのかは分からない。
もしや誰かが故意的に悪意へ変えたのかもしれない。
善意を悪意と受け取った者が居るのかもしれない。

 だがそんな者が居たかを確かめる術は無い。
いや、そもそも果してそこに人が居たのかさえも、随分と怪しいものなのだ。
ただただ悪意に絡めとられる自分のみが、そこに居るだけなのかも知れない。



−終−




854 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 04:16:03.03 ID:D2iKJ2qxO
凄かった…
乙!

859 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 04:16:21.22 ID:cvofisk+0
よくこれだけの内容を1スレで終わらせたな
マジですごいよ。この朝方まで付き合った甲斐があった
ありがとう。>>1乙!

873 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 04:17:41.10 ID:O1eAIe2e0
あとがき


 俺べつにこういう話が好きってわけでもないんだが、
( ^ω^)←この顔見ていると、どこか狂気染みたものを感じずには居られない。
こいつ主役から降板だな。悪役の手下とかでもやってれば良いよ。スネ夫的ポジション。

( ・∀・)「……さすがに頭にくるね。今すぐその口、きけなくしてやるよ」
( ^ω^)「そーだお。お前なんかヒトヒネリだお」
( ・∀・)「行け! 内藤!」
( ^ω^)「いけいけー内藤!」
(;^ω^)「……って、あれー!? 僕ですか? ムリムリ!」

みたいな。そういう話ってもう結構あるのかな?

 閑話休題、この話は、とあるスレが一部モデルになっています。
でも、勿論そんなもの知らなくても全然問題無いです。

 とにかく心に湧き上がる悪意を溜め込んで、物語に昇華してやろうと思って書きました。
結果、書いているあいだ俺の中で悪意がねじれ曲がって、
話までねじれ曲がりました。なんだかなー、もっと違った角度から出来た気もする。
こんな話ばっかり書いているから俺って奴は……。脳内改造! 脳内改造!
もっと爽やかで暖かくて、かわいらしくてかっこよくて、そんな話が良いなああああ。

それじゃあ、こんな長い間読んでくれた人、本当にありがとう。

882 : ◆HGGslycgr6 :2008/01/20(日) 04:21:17.59 ID:O1eAIe2e0
>>532が好きすぎるんだが、詳細教えてくれないか……

889 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 04:24:21.95 ID:cvofisk+0
>>882
>>532だがもうantihoneyってmp3サイトの「siren」って曲。今サイトが停止中でDLできない
前DLした手持ち全部うpするけどまだおきてるか?

892 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 04:26:13.68 ID:79smC5QL0
>>889
muzieでダウンロードできるみたいだぞ。
ttp://www.muzie.co.jp/cgi-bin/artist.cgi?id=a009776

895 ::2008/01/20(日) 04:27:16.81 ID:O1eAIe2e0
>>888-889
ありがとう。疲れたからこれ聴きながらまったりするわ

885 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 04:22:58.45 ID:bx/FEutuO


質問なんだが、デミタス好きなのかい?

895 ::2008/01/20(日) 04:27:16.81 ID:O1eAIe2e0
>>885
好きって程でもないんだけど、AA一覧眺めてたらコイツやらかしそうだなあと思った。

913 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 05:33:35.57 ID:33oxhXUz0
結局クーやその他の悪人を殺したのは誰なんだ?
この物語にはもう一人犯人がいる

914 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 05:38:44.75 ID:bA3K7TH70
もう終わったんだ…終わったんだよ

915 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 05:38:57.80 ID:pmxuagki0
>>913
ショボンとかそこらへん。物語の途中で取調べを受けてなかったか?

918 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 05:54:50.89 ID:bA3K7TH70
クーは自殺…で良かったのか

919 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 06:18:10.63 ID:3K1aX+Hl0
>>918
自らの作ったサイトに自分自身を投稿し殺されたんだから自殺のようなもんなんじゃ
書き込んだらどうなるかはわかってた訳だしな

オムで他作品読んできたが作者なかなか狂気的だなw

923 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 06:46:43.87 ID:FV7Gi3JS0
いやいやいや…完敗、負けたわ…眠たさをおして読み切ってしまった
奔流となれば全てを押し流す、それはありとあらゆる感情、つまり人格の集合こそが危険極まりないということか

そういえばドクオの痕跡がめっちゃ残ってたハズだけども、それについての追及は何故無かったんだろうな
血液どころか歯の一つや二つは転がってそうだぞ。ツンの死体とは無関係の血痕も大量だったハズだし

924 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 06:56:27.72 ID:FV7Gi3JS0
>>11
  ( ∵)「自宅から持ってきたバタフライナイフで胸を一突き。

>>696
居間に足を伸ばしたツンの首筋に、深々と突き刺さったということ。


これは後乗せサクサ(ry違った後付け優先法則で良いか?
というかやっぱりドクオを惨殺した現場に違和感を覚えなかった警察\(^o^)/

943 ::2008/01/20(日) 10:50:00.62 ID:O1eAIe2e0
>>924
胸の記述は、投下してる最中に気付いて悶えた。
もっとちゃんと推敲すれば良かった……表現の重複もあったりして、もうね……ちくしょう

941 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 10:25:14.32 ID:33oxhXUz0
クーが兄者に告白?した意味もわからない

944 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 10:56:03.48 ID:LyMsYlO+O
>(´・_ゝ・`)「……となると、お前も男も犯人はもう一人の方だと言うだろうな」

どういう意味?少年じゃないの?

945 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 11:04:44.28 ID:G0q1tNUyO
川 ゚ -゚)「男が少年を殺した」

男「川 ゚ -゚)が少年を殺した」


こうじゃないの?

946 ::2008/01/20(日) 11:08:00.05 ID:O1eAIe2e0
>>941
告白した意味なんて……野暮なことを

>>944
ごめん、質問の意図が良く分からない。

現場に三人居て、少年は記憶障害で誰がやったかわからず、
男はクーが突き落とした犯人だと言い、
クーは男が突き落とした犯人だと言う。

それじゃあ埒が明かないから、二人とも黙って居ようじゃないか。
なに、少年は何も覚えちゃいない。

みたいな感じで書いたんだが……なんかまずかっただろうか

947 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 11:11:26.85 ID:rws8T/ryO
つまり兄者への愛はガチだったけど
その事件のインパクトで、兄者なんかどうでもよくなってきたみたいな感じかな

954 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 11:48:04.72 ID:07xSe1zwO
うおおおお乙!!
目を休ませてたらそのまま寝てしまった

爽やかとか明るい話?
あんたの酉じゃホラーへの伏線にしか見えんぞ

955 ::2008/01/20(日) 12:04:15.56 ID:O1eAIe2e0
>>954
書きたいんだよ……。
俺こういうややこしくて暗い話ばっかで、複雑にしようとしてミス多発するし。
一本筋で分かりやすくて、青空見上げて明日も頑張るぞーって言いたくなるような話とか最高。
でも幸せなキャラクターを書いてると、最後で不幸にしたくなる。不思議!

958 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 12:14:36.47 ID:rws8T/ryO
そうだ、作者まだいるなら聞きたいことが
大体プロットにはどれくらい時間掛けてるの?
人間関係やら時系列とか、作り込まれててスゴス

960 ::2008/01/20(日) 12:30:44.73 ID:O1eAIe2e0
>>958
えーと、この話はそんなに長くなくて、考え始めたのは確か10月頭くらい。
そっから毎日暇な時とかに頭の中で色々考えたり、調べてみたり、
ある程度形になったのが12月頃だったと思う。

後は時間見つけては書いてってのを繰り返しながら、
実際に書いてみておかしいところを調整したり、飽きて投げ出したり。
内容は投下する直前まで微妙に変化してたけど、2ヶ月くらいになるのかな。

961 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 12:31:57.73 ID:VbCjm5jXO
以外とかかるのだな…

962 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 12:38:15.20 ID:rws8T/ryO
トンクス
プロットに数ヵ月・・・
それで長くない方ってのに驚愕だ

職人的だなー、ほんとに乙
アンタみたいな作品書いてみたくなったよ

964 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 12:47:31.34 ID:XzG0gBsNO
次回作なんかは完全に未定なのかな

967 ::2008/01/20(日) 13:05:03.59 ID:O1eAIe2e0
>>964
なんも考えてない。
最近楽器のほうが楽しいし、ちょっと大事な時期に入って忙しくなるから、
たとえ書き始めたとしても完成するのは大分後になると思う。

997 ::2008/01/20(日) 16:29:53.20 ID:O1eAIe2e0
俺初めてブーン系で1000行きそうだ。
ちょっと感動。読んでくれた人本当にありがとう

999 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 16:30:51.47 ID:NGVwo/2s0
こっちこそありがとう

1000 :VIPがお送りします。:2008/01/20(日) 16:31:04.96 ID:7TwPANh80
おつ

1001 :1001:Over 1000 Thread
    リ
  小 ア   /
  学 充  /   _,、-───‐-、、
  生 が   l,.'´           `ヽ、            _,..-─ ─- 、._)  
  ま 許   i :::.              \         ,.' ´         .ヽ   リ   え
  で さ   l::::::.              `rィ     /            . . :i  ア   |
  だ れ   _ゝ:::               ノ彡 _,、/             . . :.:く  充  マ
  よ る   「 j::::::               イ彡; j{ニj             . . :.:j`厶 !?   ジ
  ね の   ヽ:::,;-==ェ;、   ,,,,,,,,,,,,,,,_ イ,ィイ} }トノ      ,       . . :ノニ..、、ヽ
-┐ | は ,√:::´ :===、_::)  f';,,:===、_ ゙ゞ'¨ヾ H  , -─、  i ゞ==ー、._. :.:.に二ニ ⌒Y⌒ヽ
  レ'⌒ヽ/. ! ::..     ̄´.::;i,  i `'' ̄   レ,イj.〈ハ'´,rェエ,I>  r ニエユ,ミュ一 : `マ尨._  リ
       l゙Y、:::::.     ,ィ::;   ゙iヽ       ,jノ/  Y    ‐f  ...       : : : : Y´r Y
      i ,j::゙,::::::::::::/ ーゞ,,,rー'`ヾ、   / i ,j.   !   ,..」  . :.::.、      : :,: :  h |
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人_,、ノL_,iノ!|::::;;i:::::::..   `ー--‐'     !  |_人__人ノ_  i   __      `i. :.:. :ノ:: : し'´ ::|
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                                        久々に1001
                                       リア充&ゆとりは死ね!NEETクオリティ万歳!!
                                       http://yutori.2ch.net/news4vip/







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( ^ω^)ブーンがピアノを弾かされるようです。
( ^ω^)ブーンが丸痣の謎を追うようです。
( ^ω^)ブーンと隠のツンξ゚听)ξ
( ^ω^)ブーンと鬼のツンξ゚听)ξ のようです
( ^ω^)ブーンの力は役立たずのようです。
posted by キティ at 21:10 | このエントリーを含むはてなブックマーク | Comment(18) | TrackBack(0) | 〆(・ω・ ) ヨミモノ
(「・ω・)「 お世話になってるヨソ様ー
海の幸 (VIP)
山の幸 (etc)


この記事へのコメント
  1. うおおおピアノ作品まとめたのかなんたらさん!
    Posted by 名乗るのマンドクセ('A`) at 2008年01月21日 23:02
  2. すげえと思ったらピアノの作者だったのね
    Posted by 名乗るのマンドクセ('A`) at 2008年01月21日 23:35
  3. 1001いらねえwwwwwwww
    Posted by 名乗るのマンドクセ('A`) at 2008年01月22日 04:47
  4. >>923も言ってるが
    ドクオの血痕等が残ってそうなもんだけどなww
    Posted by 名乗るのマンドクセ('A`) at 2008年01月22日 18:37
  5. 怖いもの見たさで一気に読んでしまったけど、なんとも言えないモノが胸に残ったわ。
    こういうのを読むとテンション下がる代わりに深く思考する集中力と妙なやる気がもらえる
    いい小説(?)だった
    Posted by 名乗るのマンドクセ('A`) at 2008年01月22日 19:05
  6. なんかブーン達の人間関係がShcool Daysみたい。

    合う曲は【悲しみの向こうへ】が合うんじゃないかな。
    Posted by 名乗るのマンドクセ('A`) at 2008年01月22日 19:21
  7. 寝なきゃいかんのに読みきってしまった…
    Posted by 名乗るのマンドクセ('A`) at 2008年01月23日 02:06
  8. いやぁ、胸糞悪いなぁ
    いい意味でw
    Posted by 名乗るのマンドクセ('A`) at 2008年01月23日 02:29
  9. 絶望の世界を思い出した。
    Posted by 名乗るのマンドクセ('A`) at 2008年01月23日 03:18
  10. これは面白い 引き込まれてしまった

    しかしラストは空気嫁www
    Posted by 名乗るのマンドクセ('A`) at 2008年01月23日 06:41
  11. しぃがレナにみえる
    Posted by 名乗るのマンドクセ('A`) at 2008年01月23日 14:26
  12. しかしこの話で一番不幸なのは
    娘を殺された兄者ではないか
    Posted by 名乗るのマンドクセ('A`) at 2008年01月23日 22:46
  13. 読んじまったよこんな時間まで
    最近よくある闇サイト(笑)みたいな陳腐なネット犯罪モノかと思ってたらちげーし

    てかあれか
    ネットの集団の悪意って俺らの事か
    怖くて笑えねぇ

    何か昔話の訓話を読んだような気分だわ
    Posted by 名乗るのマンドクセ('A`) at 2008年01月24日 03:36
  14. ピアノと力役立たずの作者だったのかよww
    つかなんか文の構造というか、雰囲気(あえて変換
    微妙にかわってないかい?
    Posted by 名乗るのマンドクセ('A`) at 2008年01月25日 23:31
  15. いや、なんだかんだこの引きつける感じはトップクラスだわ。なんか泣けた俺は氏んだほうがいいかもしれんが。
    Posted by 名乗るのマンコクセ('A`) at 2008年01月26日 21:51
  16. いや、なんだかんだこの引きつける感じはトップクラスだわ。なんか泣けた俺は氏んだほうがいいかもしれんが。
    Posted by 名乗るのマンコクセ('A`) at 2008年01月26日 21:52
  17. 今までブーン系は読んでなかったけどこれは・・・

    しぃが好きだから死ぬとこでちょっと泣いてしまった

    本気でスゴイと思う
    Posted by at 2008年09月05日 02:41
  18. 悪意に巻き込まれたブーンと悪意に巻き込まれた毒男が舌を切り取る動機が違うのはなんで?
    Posted by 名乗るのマンドクセ('A`) at 2008年10月07日 23:28
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