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※続きは追って沙汰を待たれい(´・д・`)
69 :1:2007/03/02(金) 01:22:37.35 ID:ROIBEMyq0
第20話 壁の向こう
どら「君と会うのは今回が初めてだ、紹介しなくちゃいけないよね?
ぼく、どらえもんです。よろしく」
ドラ「そんなこと今はどうだっていい!
ぼく達は日記を取り返しにここに来たんだ!」
こっちが言っていることも全く聞く耳を持たず
平然とした顔でこちらに話しかけてきた。
どら「どうやってここまで来たの?
時空刑務所に入ってたはずじゃなかったの?」
ドラ「あそこから逃げて来たんだ」
どら「よくあそこから逃げてこられたね、とても残念だなあ
せっかく仲間に頼んで刑務所に入れてもらったのにさあ・・・」
誰かに嵌められていたとは前々から薄々分かっていたはずなのだが
やはり驚いてしまった。
ぼくを有罪にして刑務所に入れた手引きをしていたのが
どらえもんだったとは・・・・
腹の底から怒りが吹き出してきて、おまけに腸が煮えくり返りそうだった。
70 :1:2007/03/02(金) 01:29:07.55 ID:ROIBEMyq0
ドラ「入れてもらっただって?やっぱりぼくがあそこに入れられたのは
お前の仕業だったのか!」
どら「ウフフ・・・そうだよ。なのに逃げ出しちゃうなんてなあ
残念だなあ、一生出られないと思ってたのに」
のび「何も罪を犯していないドラえもんをよくも刑務所なんかに
入れたな!」
どら「のび太君怒ってるの?そう怒るなよ、ドラえもん
さっき命を助けてあげたじゃない
ぼくがあそこで一番君達を止めなきゃ全員殺されてたんだよ」
のび「ふざけるんじゃない!そんなことで許されるとでも思っているのか!
ドラえもんがあそこに入ってどんなにつらい目にあったかお前には
分からないのか!」
どら「せっかく助けてやったのにお礼の言葉は無しか。
刑務所に入って地獄の日々を送った?そんなのわけない。
彼が経験したことなんてぼくの悲しみに比べればまだまだだ」
怒りが頂点まで達していた、今にも奴に襲い掛かってやりたかったが
今はそうすべきではなく話し合う時だと必死で自分に言い聞かせて
感情を抑えた。
71 :1:2007/03/02(金) 01:32:04.34 ID:ROIBEMyq0
ドラ「今はそのことについてをあれこれ話している時じゃない!
お前から日記をもらうためにここに来たんだ!」
どら「日記?君たちあの日記のこと知ってるの?
よく知ってるねえ、それを返しにここまで来たというわけか。」
彼は後ろ手に持っていた文庫本くらいの大きさの日記を前に出して
これ見よがしにヒラヒラさせて見せ付けた。
それは間違いなく秘密道具のあらかじめ日記だった。
やはり彼が日記を持っていたのだ
のび「日記を返してくれるなら僕達は君に何もするつもりはない
だからおとなしく日記を渡してくれないか?」
のび太君がそう提案すると彼は突然狂ったような声で笑い出した。
72 :1:2007/03/02(金) 01:35:52.00 ID:ROIBEMyq0
どら「ウフフフフ・・・・アハハハハ
ぼくがそんなに簡単に日記を渡すと思ってるのかい?
これはぼくの計画を成功させるために絶対に必要な物なんだ
おいそれと君たちに日記を渡すわけがないじゃない
本当に君達は実に馬鹿だな」
ぼくはその笑い声をじっと黙って聞いていたが心の中ではある決心を
固めていた 。のび太くんもぼくと同じ結論に至ったらしく
横を向くと目があった。奴に襲い掛かり殴ってでも蹴ってでも奪う
今の状態はあの日記を奪うには絶好のチャンスだ。
横にいる相棒に3・2・1で飛び掛るぞと目配せをすると相棒も理解したらしく
目をまばたきさせて答えた。
73 :1:2007/03/02(金) 01:40:32.77 ID:ROIBEMyq0
ドラ心(3・2・1、行くぞっ!)
一斉に彼に歩みより、飛び掛り、もみくちゃにした。
多少今までの恨み辛みも入り混じっていたので
今出せる精一杯の力で無茶苦茶に手と足を動かし続けた。
だが殴れども殴れども効いている気配はなく涼しげな表情で
その場に立ったままでいる。
ぼく自身も全く彼を殴っている気がしなかった。
まるで幻を叩いているみたいだ。
それに気づいたぼくは手を止めた。
ドラ「止めよう、意味がない。」
のび「何でだよ!?今しかないんだぞ」
ドラ「よく見てみなよ、まるで本物みたいに見えるけどこれはただの
残像、立体映像だよ」
それにやっと気づいた相棒もおずおずと恥ずかしそうに
手と足を動かすことをやめて、荒く息をついた。
どら「その通り立体映像だよ。見ただけで大体分からないかい?
そんなことにも気づかないなんて
本当の本当に、馬鹿だなあ君達って奴は」
74 :1:2007/03/02(金) 01:44:03.69 ID:ROIBEMyq0
ドラ「いい加減にしろっ!どこまでぼく達を馬鹿にすれば気が済むんだ
この偽者っ!!」
どら「偽者だって?それは聞き捨てならないなあ。
ぼくは偽者じゃなく本物なんだ!」
ドラ「何言ってるんだ!ぼくの方こそ本物だっ!
ぼくの名を語って悪事を働かないでいただきたいっ!」
どら「ぼくが本物だ」ドラ「いやぼくが!!」どら「ぼくが」
のび「ああ〜もう分けわかんなくなってきた
今はそんなこと言ってる時じゃないだろ!!」
のび太くんの喝で急に目が覚めたぼくは子どもの口ゲンカを先生に仲裁されて
しまった後のように急に自分のしていたことが恥ずかしくなって
下を向きうつむいてしまった。
76 :1:2007/03/02(金) 01:51:01.18 ID:ROIBEMyq0
どら「ウフフ・・ちょっとぼくらしくなかったね。
ここに君たちを呼んだ目的を忘れていたよ。
これを見てもらいたかったからなんだ」
彼は壁を指差した。その壁を指差したのを見計らったかのように
真ん中に切れ目が現れ、ゆっくりと壁が左右に分かれ始めた。
やっと壁の向こうが見えるとぼくは愕然とした。
壁の奥には大きな工場のように機械の配線やらハシゴやらが無数に
張り巡らされていた。
だが驚いたのはそれでなくそのコードや配線が繋がれている大きな
工場のような所一杯を埋め尽くすくらいの物に愕然とさせられたのだ。
のび「これは・・・」
そこには大きな巨大の鉄の塊が映っていた。
いやこれは塊というには正しくないかもしれない
巨大な人型のロボットがいた。
細部まで綺麗に彩色されたメッキ、ビルでも一握りで潰しそうなくらい
巨大な手と足、厳めしい顔、胸の辺りには砲台と言ってもいいくらいの
大きな砲塔が無数に付いている。
それは全くの欠損部分もなく完璧に組み立てられた状態で
起動させられるその時を待っているかのように静かに横たわっていた。
77 :1:2007/03/02(金) 01:55:11.76 ID:ROIBEMyq0
どら「どうだい?格好良いだろ??
君達があの玉を返してくれたおかげでようやくこのロボットを
完成させられたよ」
ドラ「何でこんなところにザンダクロスが。」
のび「一体これを何に使うつもりなんだ」
どら「そんなこと分かってるだろ?鉄人兵団を倒すために使うんだよ」
のび「そんなこと信じられるもんかっ!
どうせこれを悪用するつもりなんだろ!」
どら「そんなことには使わないよ。悪い鉄人兵団たちをやっつけるために
使うんだ。本当だよ、ぼくは嘘なんかつかない。」
ドラ「いいや信じられない、どうせそれも嘘なんだろ
お前のやってることは嘘ばっかりだ。
いい加減そんな嘘をつくのはやめろっ!」
78 :1:2007/03/02(金) 02:01:36.99 ID:ROIBEMyq0
どら「嘘ばっかりか・・・ウフフ・・・相変わらずきついこと
言ってくれるなあ、さすが君だ。 でもぼくは嘘をつくのも
計画を止める気もないよ
空き地の遊びはまだまだこれからなんだから。」
ドラえもん君が未来からわざわざ帰ってきてくれたようだしね。
楽しくなってきたなあ。
やっぱり敵には強いやつがいなきゃつまんないもんね。
弱いまんまじゃ生きてる価値がない。だけどそこへ君が来たんだ。
ちょっとは楽しめそうじゃないか?
そう思ったから君達を殺すのを止めてもうちょっと
生かしておくことにしたんだ。」
ドラ「その敵というのはぼく達のことなのか!」
79 :1:2007/03/02(金) 02:08:36.50 ID:ROIBEMyq0
どら「そうに決まってるじゃない、君達はぼくらにとって敵だからね。
つまりヒーロー物でいう悪役の存在ってやつだね。
かなりお人よしで、間の抜けた連中ばかりだけど。
特にジャイアンとスネ夫の大馬鹿コンビとかね、今だってさあ」
どらえもんは壁を閉じさせた、ザンダクロスを遮らせた。
そして今度はあるモニターを指差したそこにはこの施設内の映像が
何度も目まぐるしく移り替わり、 さっき通ってきた長い廊下を映し出した。
そこにはキョロキョロと辺りを見回しながら歩いているジャイアンと
スネ夫の姿が映っていた。
どら「ウフフ、みんなそんなところ探してもぼくはいないのに
ホントに馬鹿だねえ。あんな部屋なんかに・・・
!?おい!ちょっと待て!その部屋には入るな!
入るんじゃな〜い!!」
小馬鹿にした顔で二人を見ていたがその部屋の前をウロウロし始めると
急に態度を急変させて、モニターに食いいるように陣取り
やがてはモニターを揺らし始めた。
そして聞こえるはずもない二人に向かって声を張り上げた。
80 :1:2007/03/02(金) 02:12:22.36 ID:ROIBEMyq0
モニターの中からジャイアンたちの声が聞こえてくる。
ジャイ「この部屋が怪しいな」
スネ「何でそんなこと分かるのさ?」
ジャイ「オレ様の勘がそう言ってるんだ」
スネ「何だよ、またそれかよ。そんなの当てになんないよ」
ジャイ「何だとお!俺様の勘に意義があるってのかよお!!」
スネ「異議なし、異議なしですよっ!!!
入るよ、入ればいいんでしょ。ちょっと待ってよ〜」
二人はそんな会話をひととき交わした、ジャイアンは手に持っていた
通り抜けフープをドアに貼り付け中に臆する様子もなくずんずんと中に
入り込んでいった。
その後をスネ夫が何度もためらっている様子だったが、やがては意を
決したのだろうか抜き足で歩いて行った。
81 :1:2007/03/02(金) 02:17:44.96 ID:ROIBEMyq0
どら「駄目だよ、あの部屋には入っちゃいけない!
絶対に入っちゃ駄目なんだ
あいつを見つけられたら取り返しがつかないことになる
おい!悪魔ども聞こえてるか?
今すぐ第10廊下にある厳重管理物室へ迎え!
すぐだ、今すぐにだ」
彼は誰に言っているのか分からないが上に向かって声を張り上げて命令した。
手下の者に部屋に向かうよう命令しているのだろう。
ここに来て初めてどらえもんがこんなに取り乱している姿を見て
かなり戸惑って、しかし今すべきことを思い出し横でポカンとしている
のび太くんに向かって言った。
ドラ「と・とにかくすぐに出て助けにいかないと。みんなの危険が危ない!」
のび「危険が危ないって意味一緒じゃないかよ、慌て過ぎだよ!ドラえもん。
でも大変だ、急いで行かなくちゃ二人の所へ!」
82 :1:2007/03/02(金) 02:21:36.86 ID:ROIBEMyq0
駆け足で穴に駆け寄って行き、外へと続く狭い通路の中に入った。
去り際、モニターを食い入るように見つめているどらえもんに
向かって叫んだ。
ドラ「今回はただの残像だから君を捕まえることは出来なかったけど
絶対にいつか本物の君を見つけ出して君のいう遊びってやつを
終わらせてやるからな!覚悟しておけ!」
こちらに気づいたらしく向けてさっきまでモニターに向けていた
焦りきっていた顔を、表層は取り付くっているような顔に戻して
ひきつった不気味な笑みを浮かべながらこちらに向かって言った。
84 :1:2007/03/02(金) 02:25:05.99 ID:ROIBEMyq0
どら「ウフフ・・・いいよ。
悪役とヒーローはこんな所でやりあうべきじゃない。
やっぱりもっと面白い空き地じゃなきゃいけないからね
次に会う時の楽しみにしておくよ。」
彼が別れの挨拶を告げると映像は不鮮明になり始め
モニター室から跡形もなく消えてしまった。
もしかしたらジャイアンたちの所へ行ってしまったのだろうか?
なら、なおさら早く二人のところへ行かないと大変なことに・・
そう思ったぼくはすぐに後ろ向きになり狭い通路を進み始めた。
のび太くんはぼくよりもかなり先に通路を進んでいた。
85 :1:2007/03/02(金) 02:26:57.47 ID:ROIBEMyq0
ドラ「ジャイアン達がいた廊下はさっきぼく達が通って来た道にある。
全速力で走って行くぞ!」
のび「うん!」
ここまでかなり歩いて来たはずなのでどれだけ全速力で走っても
あそこまでは10分はかかる。
それまでに間に合えばいいけど、いや絶対に間に合わせなくちゃいけない
そう頭では考えながら、足はひたすらに前に動かし続けた。
横を見ると一緒に付いて来ているはずののび太くんが横にはいなかった。
嫌な予感がして後ろをふり返るとかなり後ろの方でゼエゼエに
息を切らせながらヨタヨタと歩いていた。
86 :1:2007/03/02(金) 02:28:51.16 ID:ROIBEMyq0
ドラ「のび太くん、遅いぞ!早く行かなきゃ間に合わないぞ!!」
のび「そんなこと・・・言ったって、この廊下の広さは・・・異常・・・」
ドラ「これくらい大したことないだろ!ぼくは先に行くぞ!」
のび「そんなことより・・・あれ使えよ・・」
ドラ「あれって何だよ」
のび「タケコプター」
ドラ「あっ、そうだった」
しばらくポケットを付ける生活をしていなかったからだろうか
いざという時にこのポケットを使うということを忘れてしまっていた。
すぐにポケットの中からタケコプタ―を取り出しのび太君に投げた。
自分の頭にも道具取り付け、今度は走るよりも数倍早く滑るような速さで廊下を
進んで行った。
87 :1:2007/03/02(金) 02:31:20.83 ID:ROIBEMyq0
やがてあのモニターで見た辺りに辿り着いた、地面に着地して
通りぬけフープが付いたままになっている扉の中へ入ると中はそこまで
広い部屋ではなくやけに狭くゴミゴミした部屋だった。
それに狭い部屋をもっと狭くするかのようにゴチャゴチャと
ガラクタのような物ばかりがうず高く積み上げられていた。
のび「おうい!みんな無事かあ!!」
スネ「あっ、のび太にドラえもん!!ちょうど良い所に来た!」
物と物の隙間の奥からスネ夫の甲高い声が聞こえて来た
どうやらまだ二人は無事だったらしい。大急ぎでガラクタの山を欠き分け
彼らのところに近寄って行った。
88 :1:2007/03/02(金) 02:37:32.16 ID:ROIBEMyq0
のび「みんな逃げよう、早くしないと奴らがここに来る」
すでに部屋に入っていた二人は今が緊急事態だという忠告にも
耳に入っていないようで、ある一点だけをただ凝視していた。
視線の先には成人男性くらいの大きさの石像が置かれてあった。
それを見たのび太くんは恐怖に満ちた顔になった
やがてこれが何かに気づいたのか少し震えた声でジャイアンに尋ねた。
のび「この石像、もしかして・・・安雄?」
139 :1:2007/03/02(金) 23:49:06.52 ID:0KA6YZKD0
スネ「ああ、たぶん安雄だろうな。久しぶりに会ったから
確信は持てないけど、はる夫が話してた人間石像にされた
安雄そっくりの石像ってのとそっくりだ」
のび「安雄もしずかちゃんと同じく石にされたってことか。」
その人物の石像は何か恐ろしい者でも凝視してそのままショック死でも
してしまったかのような状態で両手を上に上げたままの状態で固まっていた。
どちらかというとそれは石像ではなく生きていた人間を麻酔で
動けなくして、そのまま固めてしまった。まるで剥製の様な
えもいわれぬ不気味さを醸し出している石像だった。
それもそうだ、この石像は元人間だったのだのだから・・・・・・
蛇頭の不気味な悪魔の呪いでこうなったのだ。
ぼく自身もこうなったことがあるから間違いない
140 :1:2007/03/02(金) 23:51:20.05 ID:0KA6YZKD0
ドラ「あの悪魔の呪いのせいだね」
のび「このままじゃ安雄が可哀相だ。早く元に戻してあげて。」
ドラ「分かった、これで元に戻してあげよう・・・」
ポケットの中に手を入れ、ある物を連想しながらゴソゴソと探ると
すぐにお目当ての道具が見つかった。
タイムふろしき、石像になったのならタイムふろしきでそうなる前の
状態に戻せばいい、例え悪魔の呪いでも22世紀の科学を持ってすればわけない。
だけどいくら簡単に元に戻るといっても、もう一度石になるなんて
勘弁させてもらいたいが・・・
ふろしきを石像に被せた、数秒するとみるみるうちに灰色の硬い肌からほのかに
ピンク色をしたなめらかな肌に戻った。
のび「安雄、大丈夫だったか?」
安雄「うわああああ、止めてくれえええ!」
まだ彼は元に戻ってから間もないからか、石になる直前恐ろしい悪魔を
見たからなのか、口を開けて何かから必死で逃げようと手を振り回し
その場で暴れた。
141 :1:2007/03/02(金) 23:52:33.91 ID:0KA6YZKD0
ジャイ「おい!安雄!しっかりしやがれ!元に戻ったんだぞ!」
安雄「あれ・・・・お前随分オッサンになったけどジャイアンか?
それに横にいるのはもしかしてのび太にスネ夫
何でお前達がここに・・・」
のび「ここにたまたま潜入した所、偶然君を見つけてたんだ。
それでドラえもんの出したこのふろしきで元に戻してもらった」
安雄「ふろしき?未来の道具?ってことは
そこの後ろにいるのはどらえも・・・」
のび「これはどらえもんなんかじゃない
僕たちのよく知ってるドラえもん本人だよ。
僕が言うんだから間違いないから」
ドラ「そうです、ぼくが本物のドラえもんです」
142 :1:2007/03/02(金) 23:56:28.37 ID:0KA6YZKD0
安雄「そうか・・・そうなのか安心したよ。
俺はてっきりあいつじゃないかと思って」
ジャイ「でも何でお前こんなとこに閉じ込められてたんだ?
あいつらに連れて来られたのか?」
安雄「分からない、分からないけどたぶん・・・」
彼も何か心当たりがあるだろうが、その理由について話すことを
少しためらっているらしくそこから先を口を噤んで話そうとはしなかった。
のび「何か心当たりがあるのか?」
安雄「・・・・あるよ」
スネ「ひゃあ!ま・また・また目玉が浮かんでる!」
彼が何かを口にしようとしたその瞬間、スネ夫が宙に浮いている目玉を
指差し、悲鳴にも近いようなカナキリ声をあげた。
みんなの視線が一斉にその目玉に向けられると目玉自身も気づいたらしく
廊下に聞こえるくらいまでの大きなサイレン音を立て鳴り始めた。
143 :1:2007/03/03(土) 00:00:06.72 ID:j1nqY2Ic0
のび「見つかった!」
信者「ここだなハアハア、立ち入り禁止の部屋ってのは。
ほどほどに痛めつけてやれ!」
どらえもんの急な命令で急いで走ってやって来たのか
ゼエゼエと声を荒げながら誰かが叫ぶ声が入り口の方向から聞こえて来た。
そう言うや否や手下達は待ってましたと言わんばかり速さでを
こちらに熱戦のような光の山をいくつも撃ち込んできた。
幸いまだこのガラクタ山のおかげで途中で山に当たってしまい
こちらまでは届いて来なくて済んでいるようだ。
ジャイ「ドラえもん何か逃げる道具出せ!いつまでもここにいちゃ危ないぞ」
ドラ「ちょっと待ってて、えーとどこでもドア、どこでもドア。
どこにやったかな・・・・」
やはりお約束でこういう時に限って、お目当ての道具を探り当てることが
出来ずこの場ではいらないようなものばかりがポケットから飛び出て来た。
144 :1:2007/03/03(土) 00:04:08.12 ID:j1nqY2Ic0
信者「おい何手間取ってるんだ!早く進め!メジューサッ!」
メジュ「オ〜ン、オロロ〜・・・・お任せ〜あれ〜」
この場ではリーダー格らしい信者が命令すると不気味なうなり声が
彼らの背後から聞こえてきて、何かがガラクタの山の間をスルスルと
ものすごい勢いで避けながらこちらの方に近づいて来た。
安雄「あれが俺を石にした化け物だっ!」
スネ「ギャー!!」
スネ夫が化け物を見て脅えきったらしく劈くような声が耳に入ってきた。
近づいてくる化け物をなるべく見ないようにしながらポケットを
探るがやはり恐怖に駆られ手が震えた。
145 :1:2007/03/03(土) 00:07:44.54 ID:j1nqY2Ic0
のび「落ち着くんだ、ドラえもん」
ドラ「あ、あった!!!」
やっと大きなドアを探り当て、地面にドスンと置いた。
ズバッ!!!
地面に置いたドアの枠の辺りを悪魔の放った光線がちょうど当り
コンクリのように少し固まってしまった。
一瞬肝がヒヤッとしたがすぐ我に返り
ドアに向かって「つづれ屋ホテル!!!!!」と叫びドアノブを廻した。
すぐに広いロビーのような所にドアがつながった。
みんなそれを待ち焦がれていたようにドアの中に
野球の盗塁のような勢いで体ごと中に滑り込んだ。
146 :1:2007/03/03(土) 00:13:28.85 ID:j1nqY2Ic0
全員が中に入ったことを確認するとぼくはすぐにドアを閉めようとした。
悪魔はそれでも引き下がらないらしくドアの間に手を潜り込まて来た。
そして手の次は顔と言わんばかりにドアの隙間からヌルリと中に滑り込んできた
ぼくはその時、見てしまった。悪魔の顔を・・・
老婆の皺に、耳まで咲けた口、モジャモジャの蛇が絡みついた髪
何度見てもおぞましくぞっとするような顔だった
恐怖に駆られて少したじろいでしまったが、すぐに勇気を振り絞り
ドアへと体当たりをかまして無理やり扉を閉めると。
ようやく悪魔も諦めたらしくドアの中に引っ込んでしまった。
扉が完璧に閉められたことを確認すると全員がやっと一安心したらしく
フッーと大きなため息をついた。
のび「良かった、ギリギリで助かった」
スネ「死ぬかと思った」
ジャイ「もうちょっと早くドアを出せってんだ。寿命が縮んだぜ」
ドラ「いやあ、申し訳ない」
147 :1:2007/03/03(土) 00:24:17.52 ID:j1nqY2Ic0
のび「でもここまで来れば一安心だよ」
ジャイ「さっきの怪物は何だったんだよ」
のび「安雄も言ってただろ?
あれは悪魔だよ。奴の光を浴びると石になるんだ
ぼくも一回奴に出くわしたことがある」
スネ「ホントに良かった。石になるのだけは絶対に嫌だからな」
ゴン「オオー!!オメエラ帰ッテ来タダカ。
デモ、ドウシタダ?ソッタラ息上ガッチマッテ」
みんな疲れきっていて急いでやって来た理由を全部説明する気にもなれず
ただその場に座り込んでいた。
おまけにさっきまで薄暗い所にいたので照明器具にギラギラと目を
照りつけられていてまぶしいことこの上なかった。
こじんまりとしたカウンターには突然現れたぼく達を目を
数人の人が不可思議そうに見つめている。
その真ん中にいた中年の男性はピタッとしたホテルマンらしいスーツを
着ていた。どうやらここはつづれ屋というホテルのロビーらしい。
ホテルというわりにはあまり賑わってはいないようだが。
149 :1:2007/03/03(土) 00:28:51.58 ID:j1nqY2Ic0
ドラ「色々あったけど無事帰って来れたよ」
ゴン「ソウカ、ソウカ。無事帰ッテ来レテ良カッタダヨ。」
ゴンスケが縦と横に入った線のように細い目をグルグルと回転させた
彼なりの喜びを表現しているらしい。
カウンターに立っていたホテルの支配人らしき男が何かに気づいたらしく
こちらに急いで駆け足で近寄って来た。
支配人「あれえ?そこにいらっしゃるのは一週間ほど前からつづれ屋に
宿泊なさってる野比さんじゃないですか
今日の早朝からまる一日帰ってこなかったから心配してましたよ。」
のび「ごめんなさい。何の連絡も無しにホテル飛び出しちゃって。
ノビスケ達は心配してました?」
支配人「そりゃあもう。あなたを探しに行くって外に飛び出そうと
してましたよ。「危ないからやめておきなさい!!」と忠告して
ホテルにいさせておきましたが、今も部屋にいると思います」
のび「そうですか、それなら良かった。」
150 :1:2007/03/03(土) 00:33:15.21 ID:j1nqY2Ic0
「野比さんお帰りなさい、それ以外のお客さんもお泊りですか?」
「団体さんのお付きだ。モア」
年のころでいうと12〜3歳くらいの活発で健康そうな少年と栗のような頭をした
毛の生えた小動物がぼく達にニコニコしながら近寄ってきた。
ゴン「アー。オメエラニハ、紹介シテナカッタカラ、分カンナカッタダナ。
コイツラハ、オラヲコノ21世紀マデ逃亡ヲ手助ケテクレタ奴ラダベ。
言ウナレバ命ノ恩人、シカ〜シ戦友ッテ奴ノ方ガ正シイカモシンネエナ」
「そうかこの人達か。ゴンスケを助けてくれた人ってのは。
うちの従業員が本当にお世話になりました。」
ドラ「いえいえ、ゴンスケにも随分助けられました」
「どうせゴンスケのことだからみんなの足を引っ張ってばかりだったに
決まってるモア!!」
151 :1:2007/03/03(土) 00:36:52.45 ID:j1nqY2Ic0
ゴン「何ダトー!コノ古ダヌキガ偉ソウニ」
「何が古だぬきだモア、酷いモア。ぼくの気も知らないで
警察に捕まちゃって本気でゴンスケのこと心配してたんだモア」
ゴン「モンガー・・・オ前オラノコト、心配シテテクレタンダナア。
イイ奴ダナ―」
「君がいないと口げんかする相手がいなくてつまらないからなモア。
必要悪ってヤツだモア」
ゴン「何ダべ!セッカク仲良クシテヤロウト思ッテタノニ
ソノ口の聞キ方ハ!!!ヤッパリお前ハ古ダヌキダヨ!」
「何だとモア、もう一度言ってみるモア!」
ゴン「アー、言ッテヤルダ。何弁デモ言ッテヤルダ。
寝テテモ布団ノ横デモ囁イテヤルダヨ。コノ古だぬき!」
二人のケンカどれだけいいふいんきになっていても必然的に始まるらしい
しかしそれは憎しみあっているというより久しぶりの再開を確かめ合って
じゃれ合っているように見えた。
ケンカするほど何とやらというやつだろう。
152 :1:2007/03/03(土) 00:40:31.93 ID:j1nqY2Ic0
「やめろよ、二人ともお客様の前だぞっっ!
すいません、本当は仲いいんだけどちょっとのことでいつも
こんな調子になっちゃって」
ケンカの仲裁役をしていた少年が何も喋らないぼくらに向かって
申し訳なさそうに謝った。
しかしそのケンカに呆気に取られていたのではなく数々のことが
この体に立て続けに起きて心身ともに疲れ切っていてとても何か喋る気には
ならなかったのだ。
のび「エモン君、ケンカの仲裁の途中ですまないけんだけど。
部屋に帰ってもいいかい?色々あってもうクタクタで・・・
シャワーでも浴びたいんだ」
「あっ、そうでした。みなさん疲れてるようだし部屋で休みたいですもんね。
すぐにみなさん分の部屋を手配しますよ。
パパ部屋は・・・空いてるに決まってるよね」
少年は自分で聞いて自分でその質問に答えた。
そしてスーツを着た支配人らしき男はどうやらこの少年の父親らしい。
153 :1:2007/03/03(土) 00:42:41.02 ID:j1nqY2Ic0
支配人「少々、お待ち下さい。野比さんを含めて5人のお客様のお泊りですね。
こりゃあ今日は久しぶりにホテルも大繁盛だぞお。
さっきゴンスケが連れて来た30名の団体さんもお泊りになってるし」
ドラ「ゴンスケ、君はあの人達をこのホテルに連れて来たの?」
ゴン「ソウダア。コノホテルナラ、誰モ泊マッテルワケハネエト思ッテナ
怪シマレナイデスムダ。隠レルニハ持ッテ来イノぼろホテルダア」
「あのなあ、ゴンスケ。自分で働いてるホテルのこと
ぼろいホテルだなんてちょっとい言いすぎだぞ。
確かにおんぼろホテルだけど」
ゴン「ぼろホテルヲぼろホテルト言ッテ何ガ悪イダ。
オラハ嘘付ケネエタイプダカンナア」
「・・・・・まあいいや、みなさん部屋にご案内しますよ。
当老舗旅館つづれ屋でゆっくりとおくつろぎ下さい。
ご紹介が遅れました。僕はこのホテルの支配人の息子で21エモンと
言います。それでこの横にいるのが絶対生物のモンガー」
モンガ「よろしくだモア」
155 :1:2007/03/03(土) 01:12:24.44 ID:j1nqY2Ic0
21「部屋は8階にあります。エスカレーターが壊れてるので
歩いて上がってもらうしかないんです、すいません」
少年は申し訳なさそうにぼくらに言うとルームキーを持って動かない
エスカレーターと上り始めた。
ゴン「壊レテルンジャナク、金ガ払エナイカラナンダナコレガ」
それを聞いて、気分はかなりズッシリと重くなった。
体は疲れきっていて一歩も動きたくない状態なのにその体に鞭打って
8階まで自力で上がっていかなくてはならないとは。
ゴン「ホラ、ミンナ元気ネエゾ!シャッキリセエ!ソンナ調子ジャ8階マデ
上レネエゾ!!」
ゴンスケはそうハッパをかけた。彼は久しぶりにホテルに帰って来たのが嬉しいのか
テンションが上がりきっていて、疲れなど微塵も見せず階段を軽快に
上って行った。ぼくらはその後を今出すことの出来る精一杯の
速さで追いかけて行った。
ドラ「おうい、待ってくれゴンスケ。フウフウ・・・」
ジャイ「あのやろ、元気だけは底なしだなあ、ハアハア・・・」
スネ「ところで安雄・・・・ハアハア。
さっきお前が捕まった理由に心当たりがあるって言ってたけど
一体何だったんだ?ハアハア」
そう聞かれた安雄君は上る速度を緩め始め、やがて階段の
途中で立ち止まってしまった。ここは一方通行なので後ろにいたぼく達も
同じように立ち止まってしまった
ドアから飛び出してこのホテルに着いてからというもの
うつむいて彼は何も喋ろうとはしなかったがスネ夫に質問されて
やっと決心がついたのか、重い口を開き、その言葉を発した
156 :1:2007/03/03(土) 01:12:50.93 ID:j1nqY2Ic0
安雄「俺、見ちまったんだ・・・
どらえもんの中身を・・・」
一同「何だって!!!!!??」
彼の衝撃的な告白を聞いたぼくは目を見開いて
顎が外れてしまったみたいに口をだらしなく開けてしまった。
体が金縛りにあったくらいの衝撃を受けて動くことはできなかった。
全員そんな状態になっている
1人だけその場所に立ち止まっていないゴンスケが
軽快にエスカレーターを上へ登っていく音だけがホテル内に響いていた。
第20話 THE END
160 :愛のVIP戦士:2007/03/03(土) 02:19:07.09 ID:1OyqqoDq0
ついにどらえもんの正体が!!!
wktkが止まらないおおお
163 :愛のVIP戦士:2007/03/03(土) 04:55:39.96 ID:QHod0X1F0
ゴンスケが出た時にまさかとは思ったが
ほんとに21エモンやモンガーが出て来るとはwww
この先も絡むのかwktk
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この*欄の1は俺になるか
1が無くなる!
業者のコメント(というか宣伝)はがんがん消します。
21エモンキター!!!!!
頭の中で声付きで再生したwww
wktkとまらない…!
1以外のレス載せるの控えるようにしたの?
レス番見てもらうとわかりますが、今回は作者さんが連貼りしてたので、間にあんまり感想がなかったですよ。あっても「支援」とかですね。
まぁこういうこともあるかと。