その1 その2 その3 その4
その5 ←いまココ その6 その7 その8
※ちょいグロがあるからそれ系が嫌いな人は読まん方がいいかと。
※この物語はフィクションです。実際の人物や団体には一切関係ありませんよ。
235 :1:2007/01/07(日) 20:21:49.24 ID:s936oG6t0
<偶然>
私はその場に寝転がる。体中が痛い。
目の前には、死体が二つ。
近藤の足がない死体と、瞳の首から血が流れている死体……まだ死んでいるかはわからないが。
でもあれだけ首から血を流せば、普通死ぬだろう。
死なないとおかしい。頼むから、死んでいてくれ。
ついさっきまでの出来事が、走馬灯のように私の頭の中に浮かんだ。
「どこに行くの? うちにも教えてよ」
瞳が優しげな微笑みを浮かべる。手に大きな銃を抱えて、優しげな微笑みを浮かべている。
体が、動かない。
私、死ぬのか。
ポケットにはボウガンが入っている。だけどあんな銃に抵抗できるわけがない。
しかも矢はあと1本しかないのだ。そのボウガンも体が固まって、出すことが出来ない。
「何、教えてくれないの?」
瞳がこっちにゆっくりと近づいてきた。
「当ててあげようか。あなたがどこに行くか」
全身から汗が滝のように流れ出す。
何か、言わなくちゃ。じゃなきゃ、何をされるかわかったもんじゃない。
「ど、どこにも、行かない、けど」
やっとのことで一文捻り出した。
マラソンを終えた後のように、息がものすごく上がっていた。
237 :1:2007/01/07(日) 20:22:21.73 ID:s936oG6t0
「へぇー」
瞳には私の言動がとても面白いようで、満面の笑みを浮かべている。
蛇に睨まれた蛙というのは、こんな感じなんだろうな。
「うちはね、こう思うの。千明は沙耶に会いに行きたいんだ」
図星。その通りだ。……何故わかっのだろう。
「さっき千明、遠藤のところに行こうって呟いてたじゃない。それでわかったんだよ」
瞳はアハハハと笑う。
「な…何が可笑しいの」
「え? だってさっきから千明、面白いほど怯えてるんだもん。アハハハ」
いつもの瞳じゃない。いやこっちが素なのか。
とにかく怖い。ここから離れたい。
だが逃げたらあの大きい銃で撃たれるような気がする。でも逃げたい。だが体が動かない。
「そうだ千明、面白いこと教えてあげようか」
耳を塞ぎたかった。瞳の声を聞きたくない。さっきの近藤にかけていた言葉を思い出す。
怖い。助けて。助けて遠藤。
「うちさっきね、沙耶殺したんだよー」
「え?」
急速に周りの風景の色が無くなっていく。
白黒の空間に、私と瞳だけが居るような錯覚。
うちさっきね、沙耶殺したんだよー
うちさっきね、沙耶殺したんだよー
その言葉が私の頭の中で何重にもなって響いた。
「この銃で、撃ったんだ。あっけなかったね。人間って、死ぬのはかなりあっけないからね」
「少し黙れ」
少し黙レ。お前の声などキキタクナイ。
頭がくラくラすル。ドコかに寝転がリたい
241 :1:2007/01/07(日) 20:23:09.25 ID:s936oG6t0
補足:小原は遠藤にウホッの反対だと思って下さい。
243 :1:2007/01/07(日) 20:26:01.03 ID:s936oG6t0
「何千明ムキになってるのさー。嘘に決まってるでしょ嘘」
また瞳の軽薄な笑い声。
突然、体が軽くなった気がした。
私はとっさに後ろを向き、走り出す。
ここに居てはいけない。心が変になる。殺される。
今は遠藤に会わなきゃ。合流しなきゃ。
まさか、死んでるはずないよね。
そんなこと、あるはずないよ、ね。
銃声とともに体が、宙に浮いた。
何が起こったのかわからない。景色がスローモーションで動いている。
周りの景色が回って、回って。
だんだん体が下に落ちて。落ちて。落ちて。
激痛が走った。放送室の扉に体が叩きつけられる。猛烈な吐き気。内臓が上に上がってくる感覚。
そして、笑い声。
「逃がすわけないじゃない」
高い、勝気な瞳の声が聞こえた。
目を半分開けて、瞳を見上げてみる。
瞳は銃を抱えて保健室に入ろうとしていた。
とても大きい銃だ。さぞかし威力があっただろう。
一つありえないことに気がついた。
なんで、私は撃たれたのに生きてるんだろう。
244 :1:2007/01/07(日) 20:26:38.87 ID:s936oG6t0
素早くポケットからボウガンを取りだす。そして狙いを定めるまもなく撃った。
あっけなかった。瞳の言う通りだった。
首に刺さっている矢。体がその場に倒れた。銃も床に音をたてて落ちた。
血が、すごい勢いで床に広がっていった。
私、生きてる。
生きてるよ。なんとか、生きてるよ。
かすかに瞳が呻いたのが聞こえた。
「うち……が…なんで…」
247 :1:2007/01/07(日) 20:33:22.35 ID:s936oG6t0
<索敵>
「川原瞳が小原千明に殺された」
館入の棒読み声。俺は驚く。
あいつ、今日の朝琢磨も殺している。一体、どんなすごい武器持ってるんだよ。
「そうか……小原、すごいな」
「そう?」
PSPを眺めながら、館入は呟く。
さっきから激しく操作しているが、一体何をしているのだろう。
外を眺める。もう外は暗くなりかけている。
電気がつけたり消えたりしている古い街灯が見えた。
「この首輪の爆弾を解除するのは、どうやら無理らしい」
「そりゃ無理だろ」
即座に返答する。いや、無理だろ。
中学生に解析されたらこのバトルロワイアルが成り立たない。
逃げる奴が続出だ。館入を通常の中学生として捉えていいのかは謎だが。
「正確に言えば時間が少し足りない。あと3日あればこんなプログラム、簡単に解析して壊している」
「……もう腐るほど言ってるけどさ、館入。お前って、本当に天才だよな」
館入は答えない。興味がないようだ。
昼が、終わる。
249 :1:2007/01/07(日) 20:34:02.01 ID:s936oG6t0
館入の死人リポートを聞いていると、川原の前に死んでいる佐藤美咲で学級の半数が死んだらしい。
ちなみに佐藤美咲の死因はチェーンソーによる自殺。
度胸ある奴だ。俺なら絶対そんな自殺はしないだろう。第一想像するだけでも痛い。
「前田」
「ん」
「そろそろ俺たちも行動を開始する」
ヘッドホンをリュックの中にしまいながら館入はそう言った。
「ずっとここに隠れているわけにもいかない。83%の確率で高橋孝幸か小松友也がここを訪れる」
「高ちゃんが?」
存在を忘れていた。そういえば、高ちゃん居たな。
そして、友也。まだ生きてるってことか。
「友也と合流出来るなら、ここに居ていいんじゃないか?」
館入は俺のほうを見る。すでに第二美術室は薄暗くなっていたので、表情はよく見えなかった。
「前田。俺たちの目的は何だ」
「何って、生き残ることでしょ」
「生き残るのに小松友也は必要ない」
言い放った。少しだけ腹が立つ。だが、口には出さないことにしよう。
下手なことを言うといつ殺されてもおかしくないからな。
251 :1:2007/01/07(日) 20:35:38.13 ID:s936oG6t0
「じゃ、これからの行動を説明するぞ」
館入の背負っているリュックは、俺のリュックの倍くらいの大きさがある。
何が入っているのだろう。気になったが、だいたいは予想が出来る。パソコン関係の何かだろう。
「渡部桂湖が潜む教官室へ向かう」
「え? な、何でだよ?」
館入は面倒臭そうな顔をこっちにむける。おい館入。俺はお前と違って凡人なのだよ。
わかるわけないじゃない。お前の作戦の目的なんて。
「今俺の手には、ガソリン入りペットボトルがある」
そう言って館入は自分のリュックから2ℓペットボトルを取り出した。
暗くてよく見えないが、その中にガソリンが入っているのだろう。
「そして渡部桂湖はライターを持っている。彼女が所持しているライターとガソリンがあれば、一網打尽が可能になる」
何故渡部がライターを持っているのがわかったの? という質問が頭に浮かんだが止めて置くことにした。
盗聴してわかったのであろう。位置も、所持物も。ああ恐ろしい。
「今からC階段を降りる。そして止まらずに教官室へ行く」
館入は、教室を出た。
「おい館入、大事なPSP忘れてる」
「それ前田の武器だぞ」
俺たちは、第二美術室を出た。
256 :1:2007/01/07(日) 20:39:54.32 ID:s936oG6t0
<回顧>
マミはまだ寝ていた。
気持ち良さそうに、すやすやと。
もうそろそろマミを起こして、作戦を練りたい。
しかし、マミの精神的なショックは大きいだろう。
疲れているだろう。それを思い、もう少し寝かせてやることにした。
俺は3時間前のマミの様子を思い出す。
放心状態。そんな言葉がぴったりだった。
マミはA階段からふらふらと降りると、そのまま倒れこんだ。
一瞬死んだのかと思い焦ったが、ちゃんと息をしていた。
なので相談室に運び、しばらく寝かせている。
あれから3時間。銃声が数えるほどしたが、あとは全然音沙汰なし。
一体あとどのくらい生きているのだろうか。
ポケットに入っているマタマのカラシニコフを取り出し、眺める。
黒い銃身がカッコイイ。だが、これはモデルガンではなくて本当の銃。
心なしか、重かった。まだ弾も入っている。
マタマは俺らを庇って死んだ。
複雑な思いがこみ上げてくる。2学期にあいつをおちょっくていたことを思い出した。
からかってもあいつは少し怒る素振りを見せるだけで、決して切れなかった。
……マタマは、弱虫なんじゃなくて優しかったんだな。
そんな思いが頭をよぎった。
マミはまだ寝ている。
258 :1:2007/01/07(日) 20:42:31.16 ID:s936oG6t0
<必然>
「千明!!」
職員室の前の廊下にさしかかると、急に遠藤が走り出した。
よくよく目を凝らすと、保健室の前に黒い塊が3個あるように見える。
その黒い塊が死体だとわかったとき、猛烈な吐き気を催した。
そういえば、この殺し合いが始まってから僕は死体を一体も見ていない。
スケショウが首を吊っているのは見たが、影だけでリアルではなかった。
今目の前には足が無い弘幸、首に矢が刺さって倒れている瞳、そして小原が倒れている。
腐敗臭が鼻を突く。目まいがする。足の力が抜けて僕は廊下に座り込んでしまった。
「……えんどー?」
今にも消えて無くなりそうな小原の声。
「千明! 大丈夫? ケガとかしてない?」
「ん……大丈夫」
早口でまくしたてる遠藤の声と小さくか細い小原の声が対称的だ。
どうやら小原は生きているらしい。だが、あの様子だと弱っているな。
「コウタ。 千明をおんぶして5組に戻ろう」
遠藤の声。僕は辛うじて立ち上がる。
「……自分で持たないのかよ」
「早く!!」
「了解っ」
怒鳴り声が2階に響く。
力が入らない足で僕はよたよたと小原と遠藤の方へ向かった。
遠藤に抱えられて小原は眠っていた。
いや、気絶していたのかもしれない。
260 :1:2007/01/07(日) 20:48:37.96 ID:s936oG6t0
安らかな寝顔。まさか、こいつが瞳と近藤を殺したなんて考えられない。
瞳と弘幸が相討ちになった。そこに偶然小原が通りかかった。刺激が強すぎて気絶した。
これしか考えられないな。
僕は小原を背中に背負う。予想以上に軽かった。
「じゃ、戻ろうか」
反応せずに無言で歩き出す遠藤。
僕は地図を制服の右ポケットに放り込み、ゆっくりと歩き出した。
皆、僕達が知らない所で派手に殺しあってるんだな。
薄暗い廊下に、瞳と近藤の血が飛び散っているのが見えた。
A階段前で、人に出くわしてしまった。
時間が停止するのを感じた。
僕の目の前に、拓朗とマミが立っていた。
お互いの時間が、停止する。
「行け」
一言拓朗が言った。その瞬間、僕は走り出した。
さっきまで軽かった小原がやけに重く感じた。
262 :1:2007/01/07(日) 20:52:25.21 ID:s936oG6t0
*
自分が何をしたか、わかっているのか。
私の前には、ポカンとしている美樹佳ちゃん。まだ倒れている彩那ちゃん。
そして、気絶している奈々子ちゃん。
私が、やったのだ。
私のスタンガンで、奈々子ちゃんを気絶させた。
仕様がなかった。気絶させなかったら、美樹佳ちゃんと彩那ちゃんが殺されてた。
汗で手が湿っている。何だか寒くなってきた。
「……どうしよう」
視界が歪む。
逃げなくちゃ。奈々子ちゃんが、目覚める前に。
「チホ」
背後から声が聞こえた。美樹佳ちゃんだ。
「逃げよ」
「うん」
スタンガンをリュックに急いでいれて、私は視聴覚室から逃げた。
美樹佳ちゃんが彩那ちゃんを背負ってその後に続く。
とにかく走った。美術室の方へ。奈々子ちゃんが目覚める前に。
疲れなど感じない。走った。走った。恐怖から、逃げた。
C階段前、2階の突き当たりまで逃げた。
とにかく走った。怖くて、怖くて。
後ろを振り向く。
263 :1:2007/01/07(日) 20:52:58.31 ID:s936oG6t0
誰も居ない。
美樹佳ちゃんは、どうなったのだろう。
まさか。まさか……ありえない。
奈々子ちゃんが気絶している限りそれはありえない。
ものすごい悪寒に襲われた。
265 :1:2007/01/07(日) 20:53:38.14 ID:s936oG6t0
<加害>
「別に………そんなこと、思ってないよ」
声が聞こえる。
「……別に、私は殺し合いなんてしたくないよ」
「それも嘘なんでしょ?」
……ミキカ。そして……奈々子ちゃん?
「いや、嘘だね。だったらその血のついたサーベルは何さ? え?」
「…………これは、ね」
お腹に激痛が走る。
「身を守るための道具、だよ。ニヒャヒャヒャヒャヒャヒャ」
痛い。痛い。とにかく痛い。
悲鳴もあげられない。痛すぎる。
「アヤナっ!」
ミキカちゃんの叫ぶ声が耳の中に入ってくる。
「安心してよ、ミキカちゃん」
奈々子ちゃんの声がする。お腹の痛みがだんだんと激しくなっていく。
「あなたもアヤナちゃんと一緒に昇天させてあげるから」
「死ぬのはお前だろ!」
銃声。
「…っ……っ!」
「死ね! 死ね! 死ね!」
銃声で鼓膜が破けそうだ。私はしばし痛みを忘れた。銃声があまりにも大きくて。
266 :1:2007/01/07(日) 20:54:44.49 ID:s936oG6t0
補足:ニヒャヒャヒャヒャが謎ですが、コピペですので。
267 :1:2007/01/07(日) 20:55:28.12 ID:s936oG6t0
何かが倒れる音がした。
私の、そばに倒れる音がした。
「アヤナ! 大丈夫、アヤナ!!」
ミキカのすがるような声。私は声を出そうとする。
が、出ない。
そういえばお腹の痛みもだんだん引いて来ている。
ミキカが騒いでいるのもだんだん聞こえなくなってきた。
また、何かが倒れる音がした。
「……痛っ」
ミキカの声だ。
おかしい。奈々子ちゃんはミキカに銃殺されたんじゃなかったのか。
「死ぬかと思ったじゃないの」
包丁が、肉に刺さる。
そんな音が聞こえた。
【16人】
269 :1:2007/01/07(日) 20:59:07.83 ID:s936oG6t0
「ぎゃあああああああああああああああああああああああ!!」
脇腹の次は、背中。
背中の次は、右肩。
右肩の次は、左肩。
奈々子ちゃんが、私の肩にサーベルを刺している。
「防弾チョッキとか、思いつかなかったでしょ?」
左肩に何度もサーベルを刺され、私の喉は悲鳴も出すことが出来なくなった。
「……痛いでしょ? 痛いでしょ? 私も痛かったのよ? 防弾チョッキでも、痛いものは痛いのよ?」
意識が遠くならない。それどころか研ぎ澄まされていく。
「そーだ、あなたを使って桂湖ちゃんと奈央ちゃんをおびきよせようかなっ」
奈々子ちゃんは私の髪の毛を掴む。
激痛とともに、私は引きずられる体制をとってしまう。
「ほら、一階に行ったら助けてって叫ぶのよ。そしたら命は助けてやるからね。もっとも、私が手を下すまもなく死ぬでしょうがねっ」
アヤナは死んだだろう。おそらく。
そして私も死ぬ。絶対。
命乞いなんて、しない。
そして、奈央と桂湖にも手を下させない。
口に力をこめた。
思いっきり舌をかんだ。
口の中が生暖かくなる。
「ゲフッ……」
痛みは、なかった。
「へぇ……自殺、か」
奈々子ちゃんが私の頭から手を離した。
「あんた、案外勇気あったんだね。ニヒャ」
270 :1:2007/01/07(日) 21:01:48.56 ID:s936oG6t0
意識が遠ざかっていく。
無意識に手がポケットに伸びた。
冷たい鉄の塊。おそらく、……直ちゃんのヌンチャク。
思いっきり奈々子ちゃんの足目掛けて叩きつけた。
「……痛い!」
その瞬間、奈々子ちゃんの体制が崩れる。
視界が狭くなっていく。
今、私に出来ることはなんだ。
それはさ、ミキカ。自分に言い聞かせる。
今ここでこの殺人鬼を倒して、桂湖と奈央の戦況を有利にすることだよ。
私は立った。
271 :1:2007/01/07(日) 21:05:41.06 ID:s936oG6t0
「……っ……まだやる気なのかい…」
奈々子ちゃんは脛を押さえながらこっちを睨んだ。
「当たり前だ!!」
叫んだら、何だか体が軽くなったみたいで。
ヌンチャクを振り上げる。
鉄と鉄の触れ合う音。
奈々子ちゃんはサーベルで私の攻撃を受け止めていた。
「あなた、そんなに苦労しなくてももうじき死ぬのよ?」
「知ってる!!」
ヌンチャクを力の限り振り下ろす。上下運動を続ける。
「私は!! お前を殺して死ぬ!!」
「……お馬鹿さん」
突然、目の前が真っ暗になった。
何も見えない。だけど聞こえる。
「さよなら、ミキカちゃん」
【15人】
272 :1:2007/01/07(日) 21:09:01.17 ID:s936oG6t0
<風流>
そして、あたしは思うわけだ。
アヤナの武器がペレッタで助かった、と。
そしてあたしはしみじみと思う。
友達の武器で殺されるなんて、幸せじゃない?
ミキカちゃんの死に顔は、安らかではなかった。
そして、あたしが今一番みたい死に顔。
裏切りもののチホちゃんを探さなきゃな。
ニヒャ。ニヒャヒャヒャヒャ。
視聴覚室の床の黄色い絨毯が、血で黒く染まっていた。
273 :1:2007/01/07(日) 21:10:41.58 ID:s936oG6t0
<地味>
「で、その植木にあげたおにぎりは何だったわけよ」
「毒入りだよ? 決まってるじゃん」
高橋の笑い声が空虚に響く。
窓の外の街灯の光がトロフィーに反射して怪しく光った。
「……小松、お前案外悪い奴だったのか」
「え? 俺はこの殺し合いで生き残る為に頑張っただけだけど」
「そういうもんか」
小松が突然たずねてきたときは少しだけ驚いた。
なにせ、この部屋には誰もこないと思っていたからだ。
一階の一番隅っこ、しかも普段は誰も訪れない。
だが、奴はやってきた。笑顔で。
274 :1:2007/01/07(日) 21:12:53.36 ID:s936oG6t0
「で、高橋。お前の武器はなんだ」
「……これなんだが」
俺は小松に武器を見せた。……武器といえるがどうか。
「アイスピック……ねぇ」
小松が苦笑いする。俺もつられて笑った。
「いや、あながち馬鹿には出来ないぞ。映画のバトロワでそれで相手を殺した奴がいる」
「え、あれってR15じゃなかったっけ?」
小松は少しだけ馬鹿にしたように笑った。
よく笑う奴だと思った。
「馬鹿、そんなのあってないようなもんだよ」
「……ったく、お前は悪いよな」
277 :1:2007/01/07(日) 21:16:04.51 ID:s936oG6t0
<意外>
「前田。作戦変更」
暗くなった廊下に、天才館入の声が気味悪く響く。
あいつの声のトーンは少し高い。なおさら怖みが増した。
「……何すんの」
「栄光の間に突撃」
館入は一つ壁を置いて存在する栄光の間を指差した。
「確か……あそこってさ、トロフィーとか置いてあるところだよね」
「ああ。で、そこに手ごろな奴らが居たからよ」
手ごろなやつって誰だよ。
そういいそうになったが堪える。
館入の計算に間違えなど存在しない。
館入は間違わない。
奴についていけば、確実に生き残れる。そう確信している。
279 :1:2007/01/07(日) 21:18:34.27 ID:s936oG6t0
「じゃ、行くぞ」
館入はPSPをリュックの中にしまった。
電源は付けっぱなしだった。
「電池切れないのか?」
「大丈夫。バッテリーをかっぱらってきてるから」
改めて尊敬した。館入は無言で栄光の間へ歩いていく。
微かに声が聞こえた。
栄光の間から。
嫌な予感が、した。
多分……いや、違うだろ。
小松友也の声じゃ…ない。空耳だな。たぶん。
俺も館入の後を追った。
281 :1:2007/01/07(日) 21:22:39.09 ID:s936oG6t0
<選択>
「……お前」
ドアが開いたのに気付いた時はもう遅かった。
トロフィーが軒並み崩れる音。
そして一直線にこっちに歩いてくる足音。
「小松!」
高橋の焦ったような声がした。俺も正直少し焦っている。
「高橋、俺に考えがある」
「何?」
「とりあえずお前はアイスピック持って入り口の方へ走れ」
「……お前、俺を殺す気か?」
ったく、臆病な野郎だ。手持ちのおにぎりを投げつけてやりたい。
「良いから走れ!」
「……死んだら呪うからな」
高橋が嫌々ながらも走っていった。
よし。俺の仕事を始めよう。
282 :1:2007/01/07(日) 21:25:54.43 ID:s936oG6t0
即座にトロフィーを入り口の方へ放り投げた。
何個も、何個も。
ものすごい音がする。案外トロフィーって重いんだな。
高橋の声。少しくらいの負傷は仕様が無いだろう。
相手がほんの少しでもひるめば、それで十分。
俺は先が剣のようになったトロフィーを持って入り口の方へ走った。
「小松! 早く来てくれ!!」
息絶え絶えな高橋の声。
……一体、誰が来たんだ?
「俺じゃ一人が限界だ! 早く!」
目を凝らすと、高橋の下に何かが刺さった死体が転がっていた。
前田。
283 :1:2007/01/07(日) 21:27:13.60 ID:s936oG6t0
ここからのテキストデータがありません。
おそらくどっかで消したorどっかに隠しファイルで保存してるんだと思うのですが。
さっきから探し回ってるのですがありません。
284 :1:2007/01/07(日) 21:27:36.16 ID:s936oG6t0
………要望があれば、続き書きますがどうしましょうね。
288 :筆柿:2007/01/07(日) 21:28:42.65 ID:OREBbwCT0
前田・・・。
ってここで終わりなのかw
289 :まつたけ:2007/01/07(日) 21:28:49.08 ID:R6cEdjsQO
今から作れば良い
291 :1:2007/01/07(日) 21:29:19.61 ID:s936oG6t0
みんなに失礼なので続き書こうと思います。
相変わらず痛いところはあまり指摘せずに。
その1 その2 その3 その4
その5 ←いまココ その6 その7 その8