1 :VIP村人w:2006/11/13(月) 13:45:44.48 ID:gA04KXY80
「アンパンマン……俺様はお前が羨ましかった。妬ましかった……。
お前は好かれ、俺様はどこまでも嫌われ者のまま……。正反対さ。
でもな、俺様だって最初から嫌われていたわけじゃない……嫌われたかったわけじゃない……。
いいか、アンパンマン……お前は俺だ……その意味を、いつか知ることになる……。
あ、あ……これで…俺は、やっと、楽に、な、れ……」
バイキンマンはそう言い残し、逝った。
バイキンマンとの最終戦。アンパンマンは辛くも勝利を収めたが、その代償は大きかった。
パン工場は見る影もなく壊され、仲間は倒れ、そしてジャムおじさん、バタ子さんの命が奪われた。
この世界でアンパンマンの顔を作れるパン職人はジャムおじさんしかいない。
もうこの顔の替えを作ってくれる人はいないんだ。
次にこの顔が壊された時、その時が自分の最後になるだろう。
3 :VIP村人w:2006/11/13(月) 13:46:28.29 ID:gA04KXY80
しかし見れば周囲にはアンパンマン達が守った人々がいる。笑っている子供たちがいる。感謝してくれる人々がいる。
ならば、そのいつか来る死も受け入れよう。この笑顔を最後まで守り抜こう。
そうすれば僕はきっと穏やかに逝けるはずだ。アンパンマンはそう心に想った。
それからアンパンマンは壊された工場を、何とか寝泊り出来る程度まで直し、そこで暮らしていた。
朝と夜はパトロールし、昼は子供たちと遊び、何か事件があったらそれを助け、
人々に愛されながら過ごしていた。
5 :VIP村人w:2006/11/13(月) 13:46:57.45 ID:gA04KXY80
転機は思わぬところで訪れた。
梅雨に入った湿気の多い、暑い時期だった。
ある日、アンパンマンが目を覚ますと顔の頬の辺りが妙にむず痒い。
触れてみると、ぼそっとした手応えと共に顔の一部が剥げるような感触。
指を見てみると、そこには緑色をした薄い毛のようなものが付着していた。
何だろう、これは?
気にし始めると、顔のアチコチが痒い。それに何か力が出ない。
確認しようにも最低限寝泊り出来る程度に直しただけの家に鏡などない。
仕方ない。村の誰かの家に行って見せて貰おう。
そう思い、アンパンマンは窓から村へと飛び出そうとした。
だが、アンパンマンはそのまま地面へと落ちた。
飛ぶ事が出来なかったのだ。
どうしたと言うのだ……?
落ちたせいで身体は痛むが、しかし落ちた時の傷のせいだけではない身体の重さがある。
何もかもがわからない。突然すぎてわからないことだらけ。
自分の身に何が起こっているのかを知るため、軋む身体を引きずりながら、アンパンマンは村へと向かう。
8 :VIP村人w:2006/11/13(月) 13:48:21.77 ID:gA04KXY80
ようやく村へとたどり着いたアンパンマンは、村の様子がいつもと違うことに気がついた。
いや、村の様子と言うより、村の人々の自分を見る目がいつもと違う。
いつもなら村に来れば子供達は駆け寄り、親達は挨拶をし、老人はそれを微笑みながら見ている。
そんな光景が広がっていたはずなのに。
今日の村人達が自分を見る目は、眉に皺を寄せ、何かを恐れているような、何かを蔑んでいるような、そんな雰囲気だ。
「み、みんな」
そう声にしたつもりの言葉は、まともな声になっていなかった。
気管から漏れた空気が掠れて、「ギ、ギヴア゙」と言う音になった。
村人の一人が「ひ…っ」っと声を上げた。
自分の声が出ないことを知ったアンパンマンは焦り、とにかく誰かの家を訪ねて自分の姿を確認しようと身体を引きずるように駆け出した。
11 :VIP村人w:2006/11/13(月) 13:49:27.43 ID:gA04KXY80
訪れたのは仲の良いおばあさんと、その孫が住んでいる家。
おばあさんは足が悪く、子供はまだ小さいので遠くに買出しにいけないため、
アンマンマンがよく代わりに必要なものを買ってきたりしてあげていたのだ。
声はちょっと出せないが、あのおばあさんなら身振り手振りでもわかってくれるだろうし、
何かおかしなところがあったら教えてくれるだろう。
そう思い、コツコツ、とドアをノックする。
少し遅れて「はぁい」とおばあさんの声がする。
扉の向こうからぱたぱたと駆けてくる音。きっと子供の方だろう。
「どなたですかぁ〜?」
そう愛らしい声と共にガチャ、とドアが開き子供が顔を覗かせる。
アンパンマンは優しい笑顔を浮かべ、それに応対する。
いつもアンパンマンを見ると喜んで飛びついてくるので、両手を広げてそれを待つ。
13 :VIP村人w:2006/11/13(月) 13:51:11.57 ID:gA04KXY80
しかしいくら待ってもその時は来なかった。
子供はアンパンマンの顔を見たまま止まっている。
何か想像し得ない事態が起こって思考が停止しているような感じだ。
「どうしたの?」
アンパンマンはそう問いかける。しかし声は同じように濁った呻きとなって喉から漏れた。
それに合わせて子供は時間を取り戻したように、一気に顔を恐怖に歪め、
「ぎゃぁあああああぁぁあああぁぁああっっ!!」
とすごい叫び声を上げた。
「どうしたのっ!?」
奥からおばあさんが慌てて出てきて――アンパンマンを見た瞬間に「ぎゃっ」と悲鳴を上げ、そのまま腰を抜かして倒れる。
おばあさんを助けなきゃ。
そう思い、アンパンマンが近づくと、おばあさんは奇声を上げて尻餅をついたままアンパンマンからジタバタと遠ざかろうとする。
12 :VIP女神:2006/11/13(月) 13:50:03.53 ID:YMnZGTykO
なにこの夢も希望もない話は
14 :VIP村人n:2006/11/13(月) 13:51:28.26 ID:oP3gcGVUO
もはや 愛も勇気も友達ではない
20 :VIP村人w:2006/11/13(月) 13:54:37.10 ID:gA04KXY80
一体何だって言うんだ?
僕を…怖がっている? 何故?
このまま見過ごすわけにもいかないが……とりあえずまずはこの身に何が起きているのか確認しなければ。
そう思い、鏡だけでも見せて貰おうとおばあさんの脇をすり抜け、洗面所へ。
大きな鏡のある洗面所にたどり着き、そこでアンパンマンが目にしたものは。
顔のアチコチが緑色に変色し、
顔のアチコチが剥げて崩れだした、
自分の顔だった。
24 :VIP村人w:2006/11/13(月) 13:58:44.30 ID:gA04KXY80
もう一瞬でも鏡の前になんていたくない!
アンパンマンは壊れていく自分の姿を見るのに耐え切れず、
気が触れたように手足をばたつかせながら、玄関へと向かう。
失神しているおばあさんと、どこかに逃げてしまったのか、子供のいなくなった玄関を飛び出すと
そこに浴びせられたのは怒声だった。
「お前か!!おばあさんのところに現れたバケモノは!!」
外には村に住む大勢の屈強な男たちがその手に鎌やクワ、包丁、木の棒などを持って待ち構えていた。
その後ろには先程村に来た時にアンパンマンに変な視線を投げかけていた母親などが遠巻きに見ている。
ああ、あれは恐怖や嫌悪の視線だったのか。混乱する頭の中で、やけに冷静にアンパンマンはそのことを理解した。
25 :VIP村人x:2006/11/13(月) 14:01:02.22 ID:gA04KXY80
「老人を襲うなんて!」
「気持ち悪い!!」
「子供をどこへやった!」
「このバケモノがぁっ!!」
「死ね!死ね!」
飛び交う罵声と、振り下ろされる凶器。
愛してくれていた人達の顔が崩れていく。
愛してくれていた僕の顔が崩れていく。
一つ振り下ろされ、ガツリ。
一つ振り下ろされ、ザクリ。
一つ振り下ろされ、一つ振り下ろされ、一つ振り下ろされ、一つ振り下ろされ、一つ――
32 :VIP村人x:2006/11/13(月) 14:07:15.28 ID:gA04KXY80
何かが、崩れていく。一つが終わる度、一つが崩れていく。
愛が、勇気が、友達が、自分が。
少しだけ、醜い見た目になっただけで、誰も僕だとわかってくれない。
いや、もしかしたら、わかっていても同じなのかもしれない。
そこにいるのは、かつての愛されたアンパンマンではなく、
汚らわしく汚れ、カビの生えた、汚らしく惨めで、蔑まれるべき別のイキモノなのだから。
33 :南蛮ムキトス:2006/11/13(月) 14:07:36.25 ID:cuTJ8PF80
さすがにもう死んでんじゃん?
34 :VIP村人e:2006/11/13(月) 14:10:24.00 ID:TE8uFfZA0
でもアンパンマンって別に顔はずしても
活動できるよな
35 :武器屋のじじぃ:2006/11/13(月) 14:10:57.75 ID:mQ/qckfAO
>>33
死なないだろ。ある種ループの話なんだから
38 :VIP足軽s:2006/11/13(月) 14:16:14.16 ID:37hZGLe7O
ポツリ、と頬に感じた冷たい感触で目を覚ます。
どのくらい時間が経ったのだろうか。
アンパンマンは村の外れのゴミ捨て場で目を覚ました。
空からは雨が降り続けていた。
顔は泥水とゴミと腐敗物で汚れていた。
身体を起こす。節々は痛んだが、何故か気を失う前に感じていただるさがない。
逆に身体が軽くさえ感じる。
もしかしたら僕は死んでしまったんだろうか。
でもここが天国なんて思いたくないな。ここはまだ現実だろう。
もしかして今までのが夢だったのかもしれない。
39 :VIP将軍:2006/11/13(月) 14:17:34.34 ID:37hZGLe7O
しかし、なんだろう。この虚無感は。何もかも空っぽになってしまったような感覚
は。
夢を思い出す。村人の怒り、恐れ、蔑む顔が浮かぶ。何も感じない。
守りたかったもの。守ろうとしたもの。わからない。
愛していたもの。愛してくれたもの。わからない。
トモダチ。トモダチ。トモダチ。わからない。
ボクは、誰だったのだろうか。
ふと水溜りを見やる。
そこには、顔が汚らしく黒ずんだ、一匹の新しいイキモノがいた。
『いいか、アンパンマン……お前は俺だ……』
完
43 :VIP悪魔:2006/11/13(月) 14:19:57.71 ID:aTbi+v0pO
アレ、もう終っちゃったのか
48 :VIP将軍:2006/11/13(月) 14:21:46.45 ID:37hZGLe7O
客と打ち合せに出かけなきゃならなかったんで、最後が書ききれなくてかなり端折っちゃいました。
ベタな話ですんません。
見ててきもち悪くなる映像、文章、漫画
そういうのを好む奴らの気が知れない。
綺麗な世界、一方的な正義感?
馬鹿じゃねぇのか、現実はゲロやゴミタメばっかりだぜ。
だからこそ俺は綺麗に、紳士的に生きる事を心がけれる。
醜くなったらいくら大切にした存在もあっさりはなれてしまう
人間の心も、自分の心すらも怖くなったよ
バイキンマンにも赤ちゃん時代があったし、いきなり成人で産まれるの?ループなんでしょ?
…オレはお前だ・・・・ガーン!!みたいな終わり方?なにが言いたいのかわかりませんね.
襲うつもりなんかないのに、醜くなったらそれだけで「悪者」なんだな
誰かを知らず知らずのうちに「悪」にしているかもしれない
生きて行く自信なくしたよ
お前脳みその変わりにジャムつまってんじゃねーの?wwww
元気出せよ。婆さんは気絶しちまってるわけだし、よく知らない他人が見たら「悪」に映ってしまうかもしれないけど、自分が実際に悪いことしてなけりゃ胸張って生きてもいいんじゃないか
うん簡単にいうと元気出せ。
いくら悪い事してなくても、周りから悪と認定されればそれはもう悪なんだよ
どうせ親切心でハンカチを拾ってあげるとストーカーと言われるんだ
不正を見つけて注意すれば逆切れされ、挙句の果てに責任転嫁され俺が怒られるんだ
俺じゃないのに誰も信用してくれない
こんな世の中とっとと壊れれば良いのに…
カタカナで何度も同じ単語を繰り返ry
クリスマスが近くなってきたんで皆
イライラしてるんだろう。
そっとしておくんだ。
他人に対する親切心なんかいらない。
全ての人間を呪いながら生きていけばいい。
「ウンコいやカレーライスパンマン」
ちょwww
出典忘れたorz
きっと>>1は俺と同じ行動半径だな。
バイキンマンって初期(アンパンマン設定)絵本じゃ全身がパンで作られたジャムおじさんの初作品、ジャムパンマンだったらしいぜ?
全身がパンだから腐った所を取り替えることも出来ずに捨てられていつしかバイキンマンに…
ドキンちゃんはバイキンマンになったジャムパンマンが捨てたやさしい心のカケラ(ジャム)がモデルらしい