1 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 03:36:12.25 ID:Z8ZGR9LOO
男「……ん?」
女「……」
男「……あの!」
女「……?」
男「……」
女「何か用?」
男「あ、いや……」
女「忙しいから。それじゃ」
男「……」
2 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 03:37:58.44 ID:Z8ZGR9LOO
男「来た!」
女「……」
男「あの」
女「……またあなた」
男「こ、こんにちわ」
女「……こんにちわ」
男「えーと……その……」
女「それじゃ」
男「あ、はい……」
3 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 03:39:28.88 ID:Z8ZGR9LOO
男「……こんにちわ」
女「こんにちわ。よく会うわね」
男「う、うん。そうだね」
女「……」
男「……」
女「……それ」
男「待って!」
女「……?」
男「あの……名前、教えてくれないかな」
女「――」
男「――さん。――さんね。僕は、――」
女「よろしく――さん。それじゃ」
男「うん、またね」
男「――さんか……」
4 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 03:41:13.33 ID:Z8ZGR9LOO
男「やあ」
女「こんにちわ――さん」
男「こんにちわ。――さんはいつもここを通るの?」
女「ええ。いつもここを通るわ」
男「僕もなんだ。僕もいつもここを通ってる」
女「奇遇ね」
男「……そうだね」
女「それじゃ」
男「さよなら」
5 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 03:42:33.09 ID:Z8ZGR9LOO
男「こんにちわ」
女「こんにちわ。今日も会ったわね」
男「同じ時間にね」
女「ええ」
男「この道好きなの?」
女「よくわからないけど、気がつくといつもこの道を歩いてるの」
男「僕と同じだ。僕もなんとなくこの道を歩いてる」
女「今までもずっとすれ違ってたのかもね、私たち」
男「そうかもしれない」
女「それじゃ」
男「うん。さよなら」
6 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 03:43:53.65 ID:Z8ZGR9LOO
男「――さん」
女「こんにちわ――さん」
男「今日はいい天気だね」
女「ええ、そうね」
男「どこへ行くの?」
女「……」
男「……」
女「……ごめんなさい。それじゃ」
男「……――さん?」
7 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 03:45:24.96 ID:Z8ZGR9LOO
女「……」
男「あっ……――さん」
女「こんにちわ」
男「こんにちわ……」
女「また同じ時間ね」
男「そうだね」
女「また同じ場所ね」
男「……そうだね」
女「……」
男「どうしたの?」
女「……なんでもないの。気にしないで」
男「――さん」
女「それじゃ」
男「……」
10 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 03:46:44.86 ID:Z8ZGR9LOO
男「……」
女「……」
男「……あれ? ――さん?」
女「――さん?」
男「珍しいね。今日はいつもと違う場所だ」
女「……間違えたのね」
男「何が?」
女「なんでもない。独り言よ」
男「……」
女「それじゃ」
男「うん」
12 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 03:48:19.49 ID:Z8ZGR9LOO
男「……やあ」
女「……」
男「……どうしたの?」
女「……私、なんでこんなところにいるんだろう」
男「え?」
女「なんでいつも同じ道を歩いて、同じ時間に同じ場所であなたに会うの!?」
男「――さん?」
女「いつも同じ! 何も変わらない! どこへ行くのかもわからない! 私は……」
男「……」
女「……ごめんなさい。あなたにあたっても仕方ないものね」
男「いや……僕は……」
女「……それじゃ」
男「……」
14 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 03:50:03.95 ID:Z8ZGR9LOO
男「……」
男「おかしいな」
男「――さんどうしたんだろう」
男「いつもと同じ時間」
男「いつもと同じ場所だ」
男「……」
男「僕はなぜここにいる?」
15 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 03:51:34.70 ID:Z8ZGR9LOO
男「……」
男「家から出て15分」
男「公園の前」
男「12時ちょうど」
男「家を出るのは11時45分」
男「家から公園までは……1.5キロ」
男「……時速6キロ」
男「僕はいつも時速6キロでこの道を歩いている」
男「僕は……」
16 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 03:53:30.68 ID:Z8ZGR9LOO
男「……今日も同じだ」
女「――さん」
男「――さん!」
女「心配かけてごめんなさい」
男「大丈夫だよ」
女「……ありがとう」
男「あのさ」
女「……なに?」
男「僕の家に来ない?」
女「――さん……」
男「いや、別にその……変な意味じゃなくて……」
女「嬉しい」
男「あ……良かった」
女「でもそれは無理よ」
男「どうして?」
女「だって」
男「……」
女「あなたは前にしか進めないでしょ?」
9 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 03:46:30.45 ID:YHlHFa8Z0
算数?
17 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 03:53:38.78 ID:3i82pAjlO
なんなんだ
18 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 03:54:45.75 ID:eHVJScXBO
もうなにがなんだか
19 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 03:55:27.17 ID:Z8ZGR9LOO
男「……どういうこと?」
女「私は今来た道を真っ直ぐ行けば、あなたの家にたどり着くかもしれない」
男「何の話だよ?」
女「でもあなたは違う。あなたは私が歩いて来た道を行くの。私と一緒には歩けない」
男「そんな馬鹿なことあるか!」
女「……私を嘘つきだって言いたいの?」
男「だってほら……」
女「……」
男「……あれ……? よせよ冗談だろ……?」
女「……」
男「なんだよ……なんだよこれ! 何で後ろに行けないんだよ!」
女「ごめんなさい……それじゃ」
男「待ってよ! ――さん! 待って!」
21 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 03:58:40.69 ID:Z8ZGR9LOO
男「……」
男「時速6キロ」
男「家から歩いて」
男「……15分」
女「……こんにちわ」
男「……」
女「……」
男「――さん」
女「なに?」
男「……家から公園までどれくらい?」
女「……歩いて15分。距離はだいたい1キロ」
男「時速4キロか」
女「そうね」
男「……今、何時?」
女「12時ちょうどよ」
男「……そうか……ここは……この世界は……」
24 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:00:57.63 ID:Z8ZGR9LOO
男「……僕は君とこの時間この場所ですれ違うことしかできないんだね」
女「うん」
男「どこへ行くかもわからない。気がついたら家を出て、この道を歩いている。そして君とすれ違う。12時ちょうどに」
女「……私も同じ」
男「……」
女「……」
男「僕は算数が苦手なんだ」
女「突然どうしたの?」
男「特に速さの計算なんて大嫌いだ」
女「――さん?」
男「何度も何度も練習しなきゃならない」
女「……」
男「……」
女「……」
男「また会おうよ。12時ちょうどに、この場所で」
女「……うん」
25 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:03:21.23 ID:Z8ZGR9LOO
………
「また指導要領の改訂かよ、困っちまうねえ」
「お上は現場のことなんざちいとも考えやせんからな」
「教科書も変えないとだめだなこりゃ」
「出版社もえらい迷惑だろうね」
「本当に」
「俺はこの教科書に慣れちまったからなあ」
「教科書にも情がうつるのかね」
「まあな。A君BさんCくんDさん。数年来の付き合いだからね」
「そいつは可哀相に」
………
27 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:06:06.67 ID:Z8ZGR9LOO
男「……」
男「……」
男「……僕は何をしているんだ?」
男「どこかに行かなくちゃいけない気がする」
男「誰かが待ってる気がする」
男「……どこで?」
男「……」
男「……わからない」
男「もう……いいや」
30 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:10:10.25 ID:Z8ZGR9LOO
………
「うわ、懐かしいなこれ」
「どうした?」
「ほら、これ」
「小学校ん時の教科書か」
「何年前だよこれ」
「んー……15年くらい?」
「なんでこんなもん残してあったんだ?」
「さあ……俺もよくわからんよ」
「どんなのやってたんだっけ?」
「そうだな……ほらこれとか」
「速さの計算だな。あったあった」
「解けんのか?」
「院生なめんじゃねえぞ」
………
32 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:12:16.51 ID:Z8ZGR9LOO
男「……ん?」
男「……」
男「……11時45分」
男「……」
男「行かなきゃ」
………
「なあ」
「何だよ」
「なんつーかさ、この問題虚しくねえか?」
「何が」
「すれ違ってオシマイだぞ」
「そういう問題なんだから仕方ないだろ」
「もうちょっとこう色々あっていいだろ、年頃の男と女なんだからさ」
「お前な……」
「……よし、ちょっと変えよう」
「はあ?」
………
34 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:15:41.57 ID:Z8ZGR9LOO
男「……あ……」
女「……」
男「……」
女「時間通りね」
男「……12時ちょうどだ」
女「……遅いよ」
男「……ごめん」
女「……」
男「……」
女「会いたかった」
男「……僕も」
女「最後にまた会えて良かった」
男「……」
女「……それじゃ」
………
「解けた解けた」
「そりゃ算数だしさ」
「ここからが俺流だ」
………
37 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:19:01.44 ID:Z8ZGR9LOO
男「……あれ?」
女「どうしたの?」
男「体が……前に進まない」
女「……え?」
男「なんだこれ? どうなってるんだ?」
女「……――さん、こっちに来れる?」
男「いや、だって」
女「こっちに来て!」
男「……」
女「うそ……」
男「……信じられない」
女「……」
男「や……やあ」
女「……こんにちわ」
男「……どうする?」
女「一緒に、歩こうよ」
39 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:20:38.31 ID:Z8ZGR9LOO
………
「A君は時速6キロ、Bさんは時速4キロの速さで同時に家を出発しました」
「ふむ」
「15分後、A君とBさんは公園ですれ違いました」
「うん」
「A君の家からBさんの家までの距離は何キロでしょう?」
「……2.5キロだろ?」
「正解。で、だ。この問題(2)なくしちまおう」
「ん?」
「その後、A君は時速−4キロ、Bさんは時速4キロで歩き続けました」
「……で?」
「めでたしめでたし」
「何がだよ」
「あ、やべ出かけないと。留守番頼んだ」
「……彼女かよ。いい身分だな」
「うるさい。今何時?」
「えー……11時45分だな」
「オッケー。じゃ行ってくるわ」
41 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:22:39.80 ID:Z8ZGR9LOO
………
「よう、待ったか?」
「私も今ついたところ」
「……よし、時間通りだな」
「うん、12時ちょうどね」
おわり
44 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:25:42.99 ID:Z8ZGR9LOO
はいやっぱりほとんど伝わりませんでしたね吊ってきます
35 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:17:24.66 ID:3i82pAjlO
あー
46 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:27:57.31 ID:IrjmMMDwO
途中まで「?」
理解した瞬間「!」
43 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:25:09.85 ID:jGCatQWkO
乙!もっと続けて欲しかった!
47 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:28:19.96 ID:A7+P7s0zO
週刊ストーリーランドがあればっ…!
49 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:28:50.81 ID:Z8ZGR9LOO
昨日旅人算を小学生に教えてたんですよ。
50 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:28:52.14 ID:NMDoAgb30
なるほど。実にいい話だ
51 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:28:53.42 ID:H3fvV4Sb0
しんみりした
乙
52 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:29:15.01 ID:W2k0ukDgO
算数や数学の、なんでそんなこと求めるんだという
疑問への解かもしれない
とにかく面白かった。ありがとう
68 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:51:14.78 ID:7B5O8hFsO
これいいな
童話チックな感じが
69 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 04:58:38.04 ID:epDU4JT/O
短いけどよかった>>1乙
しかし新ジャンルではないなwwwww
面白いからどうでもいいけどwwwwwww
70 :VIPがお送りします:2009/02/26(木) 05:01:59.29 ID:Z8ZGR9LOO
それを言われちゃおしまいよ
萌えからは縁遠い新ジャンル達
新ジャンル「一切存在をアピールしないストーカー」
新ジャンル「バイソン」
新ジャンル「逆腹筋」 オススメ
新ジャンル検証「車窓忍者」 オススメ
新ジャンル「スカートからイワシがはみ出ている」 オススメ
新ジャンル「白骨」
新ジャンル「げえっ!関羽!」
新ジャンル「船越英一郎」
新ジャンル「流行遅れ」
新ジャンル「モールス信号」
新ジャンル「クマー」
新ジャンル「ツンクマ」
新ジャンル「ヒキニート」 オススメ
「!」ってなったわ
↑まさにこの文のとおりだった
これは上手い
面白かった
急に「では、――さんの家は駅から何km離れているでしょう?」とか問いかけてくる
無駄にドラマティックな算数の問題かと思ってたw
そしてAさんとBさんはこのまま一緒に歩き続けるのか・・・
オレコノハナシスキダー
いいな
でも投稿すると「?」が解ける前にポイされて
選考には残れなさそうなジレンマ
いまいち掴めない
例えば
(1)の問いに(何をどう間違ってかは知らんが)
A家とB家の距離は5kmと回答してしまったらその問題世界
はどう変わるのか?
物語の中では(恐らく解き手が間違って)
違う地点ですれ違っている描写があるけど
これはどう解釈すればいいの?
普通に考えてAさんBさんの世界を規定しているのが問題文だとすると
「時速4km、6kmで歩いて来たAさんBさんが12時丁度に公園ですれ違う」という事象以外は起き様がない
それ以外の事象は「問題文」に矛盾するから
解き手の回答や思考にそって世界が変容するのであっても
解き手としては問題文に規定されている前提条件は勿論
頭にあるはずなのでそれを無視出来るとは思えない
解答が間違っていても解き手はあくまで
「AさんBさんは12時に公園ですれ違うんだ」と思っているはず
自分としては、解き手の解答が問題と矛盾しないときに
初めてこの世界は発生、成立するんだと思う
それ以外は「無」
「間違えた世界」を矛盾なく成立させる方法はあるの?
その時その世界を支配しているルールは何??
頭いい人教えて下さい
あと、上でも書いてるけどこの二人、このままずっと歩き続けるんですかね?
これっていい話どころか結構怖い話なんじゃないかな
なんて思ってしまう自分は穢れているのでしょうか・・・
上手く作れば国語と一緒に算数を勉強できるかもしれんね
人はそれを僻みと言います
そういえば小学校の時文章題の登場人物にもう少しドラマがあっても良いじゃないかと思ってた
アリだねこういうの
同じ方向に向かって歩いてるんだね。
でも勉強してなかったら「?」→「!」だったろうなぁ…。
それはそうととってもいい話だった!シンプルイズベストだね!作者さんまとめさん乙です!
泣いた
お前ラノベの読み過ぎちゃう?
院生いい仕事しすぎ。
嫌いだったけど名前のかっこいい響きだけは好きだったんだよなぁ。
10で女はどんな世界かきづいてるはず
12で「なんで」とは?
深読みするならこの世界にいる理由が分からないってことか?
何分かかるか?という問題があって、それゆえ一緒に歩いて
いくことができないってことか?
だから(2)を消して、二人が一緒の方向に同じ速度で
歩いていくよう書き換えたってことでおk?
もっと膨らみがあっても良かったかも。てか長くても良かったかも
だいたいそんなところだと思うよ。
ところでこんな問題はどうだろう?けっこう頑張って作ってみた。
「男くんと女さんが10時30分にデートの待ち合わせをしました。
2人とも10時にそれぞれの家を出て、ちょうど待ち合わせ時間に間に合う速さで歩きました。
10分後、男くんは映画のチケットを忘れたことに気が付き、今までの2倍の速さで男家に戻りました。
男くんが戻りだした頃、女さんは男くんに早く逢いたい一心で、歩く早さを今までの2倍にしました。
男家に戻った男くんは、すぐにチケットを見付けて、再び待ち合わせ場所に向かいました。
男くんが女さんを待たせないためには、少なくとも最初の速さの何倍で向かう必要がありますか。」
「秋葉原に80人のオタク達がいて、その平均年齢は28歳です。
そこに平均年齢10歳の小学生ロリアイドルが現れました!この時点で平均年齢が下がりましたが
すぐに新しいオタク達が集まってきたので、平均年齢は再び上がって30歳になってしまいました・・・。
この「再び上がった値」は、その前に「下がった値」の2倍でした。
(1)小学生ロリアイドル達は何人いますか。
(2)新しく集まったオタク達の人数が60人のとき、新しく集まったオタク達の平均年齢は何歳ですか。」
ワナビはキモイから死ねよ
面白かった。
読み直せ
お前もな。
時計の針の問題ではなくて速さの問題だよ。
ちなみに米35の答えは6倍、米37の答えは(1)10人(2)36歳。
こんなん書けたら楽しいだろうなww
こういう発想ができる人は素直にうらやましい